一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R4:地球表層・環境・生命

2022年9月19日(月) 14:15 〜 15:15 B253 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 川野 潤(北海道大学)

14:30 〜 14:45

[R4-13] 三畳系大沢層のフランボイダルパイライトから探る酸化還元環境

*石㟢 美乃1、椎野 勇太2、高澤 栄一2 (1. 新潟大・院自然、2. 新潟大・理)

キーワード:フランボイダルパイライト、三畳紀、酸化還元環境、硫酸還元

堆積岩に保存されるフランボイダルパイライトは,酸素の乏しい比較的浅い海底面下で形成される。一方,溶存酸素と水中に含まれる有機物の量によっては,水柱でフランボイダルパイライトが形成されることもある。この場合,堆積岩中に埋積するフランボイダルパイライトのサイズは,浮遊限界とされる直径6 μm以下となる。
 南部北上山地に分布する下部三畳系稲井層群大沢層は,多数の層準にフランボイダルパイライトを含んでおり,貧酸素環境で堆積したと考えられている。一方,酸化還元環境と堆積場の関係については未解明な点が多い。そこで本研究は,岩相およびフランボイダルパイライトの解析によって堆積環境と酸化還元環境の関係を検討した。
 その結果,大沢層の堆積場は,河川から大量の砕屑物が供給されるプロデルタであったことが明らかになった。このような堆積システムによって,植物片などの有機物が大量に供給されて貧酸素化が起こり,海底面下でフランボイダルパイライトが形成されたと考えられる。大沢層中部では,6.0 μm以下のフランボイダルパイライトを多数含んでおり,水柱でも断続的に貧酸素であったことが示唆される。