一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R7:岩石・鉱物・鉱床 (資源地質学会 との共催 セッション)

2022年9月17日(土) 09:30 〜 12:30 B253 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 秋澤 紀克(東京大学)、越後 拓也(秋田大学)

11:30 〜 11:45

[R7-08] 秋田県荷葉岳大黒溶岩に含まれる灰長石巨晶の包有物からの成因の考察

*西脇 健凱1、越後 拓也1 (1. 秋田大・院国資)

キーワード:灰長石、荷葉岳、EPMA、化学的ゾーニング、結晶成長

秋田県仙北市荷葉岳火山に産出する灰長石巨晶の鉱物学的特徴を記載し.得られた分析結果に基づき荷葉岳火山に産出する灰長石巨晶の成因を考察する.
  一部の灰長石斑晶に融食した普通輝石が包有されることは,比較的高い圧力のもと普通輝石が灰長石よりも先に晶出し,その後,普通輝石の安定条件から外れた環境下で灰長石が晶出した可能性がBindeman & Bailey (1999) の数値実験の結果から示唆される.また,波状塁帯型構造を持つ灰長石巨晶の存在は,比較的分化したマグマだまり中に未分化なマグマが複数回注入されるようなマグマ混合が灰長石巨晶の成長に寄与したことを示す.さらに,高An部分と低An部分の境界が比較的不明瞭であり,偏光顕微鏡観察で双晶でない部分で消光角度が一致していないことから,灰長石巨晶がマグマ混合によって,比較的大きな近くの斑晶を石基が取り込み合一 (coalescence)を起こし巨晶へ成長したものであると考察した.