一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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R7:岩石・鉱物・鉱床 (資源地質学会 との共催 セッション)

2022年9月17日(土) 09:30 〜 17:30 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:30 〜 17:30

[R7P-04] 岩手県和賀仙人スカルン鉱床における鉄鉱化作用

*五十嵐 直樹1、渡辺 寧1、瀬野 洸太朗1、越後 拓也1、青木 翔吾1 (1. 秋田大・院国際)

キーワード:スカルン、赤鉄鉱、岩手県西和賀地域、柘榴石

鉄スカルン鉱床は,一般に鉄鉱石として磁鉄鉱を主体とし,少量の赤鉄鉱を伴う.しかし,本研究の調査地域である岩手県和賀仙人鉄スカルン鉱床における赤鉄鉱の形成過程はよくわかっていない.
本鉱床におけるスカルン鉱化作用をもたらした関係火成岩は白亜紀の花崗閃緑岩類や中新世流紋岩岩脈の2つの説が唱えられている.これらの説は露頭観察,流体包有物の均質化温度及び,古地磁気に基づいており,スカルン鉱化作用と赤鉄鉱鉱化作用の関係性は明確になっていない.そこで本研究では赤鉄鉱鉱化作用のメカニズムを解明することを目的にスカルン鉱物や赤鉄鉱の詳細な観察を行い,鉱物晶出順序から赤鉄鉱鉱化作用をもたらした熱水の成長過程について議論する.
露頭観察や鉱物記載を詳細に行った結果,スカルン鉱物と赤鉄鉱の共生や,単斜輝石の赤鉄鉱化が観察された.また,一部の鉱体では黄鉄鉱を主とする硫化鉱物の沈殿や赤鉄鉱の磁鉄鉱化が観察された.以上より,本鉱床では①高酸素分圧・低硫黄分圧,②低酸素分圧・高硫黄分圧のような二つの熱水による鉱化作用があったことが示唆され,①のような熱水はスカルン鉱化作用に伴う赤鉄鉱鉱化作用を引き起こしたと結論付ける.