一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R8:変成岩とテクトニクス

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:15 B351 (総合教育研究棟 B棟3F)

座長:中村 佳博(産総研)、苗村 康輔(岩手大学)

11:45 〜 12:00

[R8-11] 東ネパールダンクッタ地域における高ヒマラヤ変成岩ナップの変成分帯と温度-圧力履歴

「発表賞エントリー」

*工藤 駿平1、河上 哲生1,2、中嶋 徹1、酒井 治孝1 (1. 京都大・院理、2. 原子力機構)

キーワード:ヒマラヤ、高ヒマラヤ変成岩ナップ

東ネパールダンクッタ地域の高ヒマラヤ変成岩ナップに属するGrt-Ky-Bt片麻岩の温度圧力履歴の推定を行った。同片麻岩の主要鉱物組み合わせはGrt+Bt+Ky+Sil+Qtzである。ザクロ石は包有物の多いコア、マントル、包有物の少ないリムに分けられる。GrtリムはBt+Sil+Qtz±Plに部分的に置換され、基質の藍晶石は部分的に珪線石に置換される。Grtコアに包有されるRtに対してZr-in-Rt地質温度計を、Qtzに対してQtz-in-Grt地質圧力計を適用し、Grtコアの形成温度圧力を690℃、8.2 kbarと推定した。さらにGrtリムがBt+Sil+Qtz±Plに置換された組織に対してGrt-Bt地質温度計とGASP地質圧力計を適用し、後退変成時のP-T条件を600℃、6.0 kbarと推定した。これより本試料はGrtコア形成段階からGrtリムの分解組織形成にかけて減温減圧のP-T パスを経たことがわかった。本地域で既に構築されているP-T-t パスとの比較から、ルートゾーンのLower HHCの変成岩類とHHC ナップの変成岩類は同様の上昇プロセスを経たことが示唆される。