一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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R8:変成岩とテクトニクス

2022年9月19日(月) 09:00 〜 15:30 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:00 〜 15:30

[R8P-02] 流体相共存下でのザクロ石を形成する部分融解―肥後変成帯泥質ミグマタイトの例

「発表賞エントリー」

*善本 夏実1、河上 哲生1、北城 諭 (1. 京都大・院理)

キーワード:流体、ナノ花崗岩包有物、部分融解

肥後変成帯D帯に産する泥質ミグマタイトのザクロ石は、高いCa濃度と低いP濃度をもつコア、中間的なCa濃度と低いP濃度を持つマントル、低いCa濃度とやや高いP濃度を持つリムに区分できる。コアはSps、Grs成分に富む(Alm0.31-0.75Prp0.01-0.13Grs0.16-0.28Sps0.14-0.41)。コアからリムにかけて、Alm、Prp成分は連続的に増加、Grs、Sps成分は連続的に減少する。コアには斜長石(>An90)、石英、チタン鉄鉱、マントルには石英、斜長石、黒雲母、チタン鉄鉱、燐灰石、ナノ花崗岩包有物、炭酸塩鉱物に富む多相包有物、リムには石英、ジルコン、燐灰石が包有される。炭酸塩鉱物に富む多相包有物は、主として炭酸塩鉱物と含水鉱物からなり、まれにCO2や石墨も含まれる。これはザクロ石に包有されたC-O-H流体が、後退変成期にザクロ石と反応して形成されたと考えられる。ザクロ石の同部分にナノ花崗岩包有物が包有されることから、肥後変成帯D帯において、ザクロ石を形成する岩石の部分融解時にC-O-H流体が共存したことが明らかになった。