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[S2P-02] オマーンオフィオライト・サラヒ岩体マントルセクションにおける蛇紋岩化作用から推定される海洋マントルの変質過程
キーワード:蛇紋岩化作用、上部マントル、かんらん岩、海洋リソスフェア、オマーンオフィオライト
本研究はオマーンオフィオライト北部に位置するサラヒ岩体のマントルセクションを対象に,最上部マントルにおける蛇紋岩化作用の履歴を明らかにし,海洋マントル最上部への水の浸透の規模を推定することを目的とした。本研究によりサラヒ岩体マントルセクションのかんらん岩に高温型蛇紋石であるアンチゴライトや滑石が普遍的に出現することが確かめられた。アンチゴライト脈の存在およびそれらの形態から,海洋リソスフェアのマントル最上部のかんらん岩に亀裂が形成され,それに沿って熱水が浸透したものと考えられる。アンチゴライトと滑石の存在により,熱水はシリカに富んでいたことが推測されるが,直方輝石の変質が関与した可能性も考えられる。サラヒ岩体マントルセクション北西部でアンチゴライトと滑石の出現頻度が低下することから,海嶺セグメント中心部では何らかの原因でマントル深部への熱水の浸透が制限されていたか,あるいは,サラヒ岩体マントルセクション北西部に発達する剪断帯の形成が影響を及ぼしている可能性が考えられる。