14:45 〜 15:00
[R3-15] ガラス状炭素の高温高圧下での直接変換による多結晶ダイヤモンドの合成
キーワード:ダイヤモンド、高圧合成、ナノ多結晶、ガラス状炭素、TEM観察
ガラス状炭素(グラッシーカーボン)バルク体を出発物質として、マルチアンビル高圧装置を用いて圧力9, 12, 15 GPa、温度2300℃までの条件下での直接変換によるダイヤモンド合成を行った。圧力15 GPaにおける純粋なダイヤモンド多結晶が合成可能な温度下限は1700℃程度であり、グラファイトバルク体を出発物質に用いた場合に比べて600℃程度低下する。一方、圧力12 GPaにおいては、純粋なダイヤモンド多結晶体合成温度下限は急激に上昇し約2300℃であり、更により低圧の9 GPaでは3000℃程度の高温が必要であると推定された。
いくつかの合成試料に対してTEM観察を行ったところ、9 GPaと12 GPaで2000℃付近で合成された試料においては、ガラス状炭素中においてグラファイト的層状構造の発達が認められた。このような、ガラス状炭素中におけるグラファイトの準安定的生成が、ダイヤモンドへの転換を阻害し、15 GPa以下の圧力下における純粋なダイヤモンド合成温度の上昇をもたらしたと理解される。我々の研究により、ガラス状炭素を出発物質として用いた純粋な多結晶ダイヤモンドの合成には、20-25 GPaの圧力では2000℃近い温度が必要であることが報告されており、15 GPa付近の圧力において最も低温条件下での合成が可能であることが示された。
15 GPaで得られた純粋なダイヤモンド多結晶体は、ナノ領域(<100 nm)の粒径をもつナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)であるが、12 GPaで得られたダイヤモンド多結晶体においては、部分的に数ミクロンに達する粒成長が認められ、NPDの合成は困難であった。また、12 GPaで得られたダイヤモンド多結晶体のヌープ硬度は90 GPa程度であり、グラファイトから合成されたNPDに比べてあまり高くなく、我々の先行研究の結果と整合的である。
いくつかの合成試料に対してTEM観察を行ったところ、9 GPaと12 GPaで2000℃付近で合成された試料においては、ガラス状炭素中においてグラファイト的層状構造の発達が認められた。このような、ガラス状炭素中におけるグラファイトの準安定的生成が、ダイヤモンドへの転換を阻害し、15 GPa以下の圧力下における純粋なダイヤモンド合成温度の上昇をもたらしたと理解される。我々の研究により、ガラス状炭素を出発物質として用いた純粋な多結晶ダイヤモンドの合成には、20-25 GPaの圧力では2000℃近い温度が必要であることが報告されており、15 GPa付近の圧力において最も低温条件下での合成が可能であることが示された。
15 GPaで得られた純粋なダイヤモンド多結晶体は、ナノ領域(<100 nm)の粒径をもつナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)であるが、12 GPaで得られたダイヤモンド多結晶体においては、部分的に数ミクロンに達する粒成長が認められ、NPDの合成は困難であった。また、12 GPaで得られたダイヤモンド多結晶体のヌープ硬度は90 GPa程度であり、グラファイトから合成されたNPDに比べてあまり高くなく、我々の先行研究の結果と整合的である。