日本文化人類学会第53回研究大会

学会特別フォーラム 「科研費改革の背景と動向」(会員限定企画)

学会特別フォーラム 「科研費改革の背景と動向」

2019年5月7日
日本文化人類学会会員各位
日本文化人類学会会長 清水展
 
すでにご承知のように、2018年に学振・科研費の審査方法その他が大幅に変更されました。それは、「日本の学術研究への現代的要請である、挑戦性、総合性、融合性、国際性を強化し、分野・国境等のカベを超えた知の融合によるブレークスルーの創出を図るために、量の充実(採択率30%達成+充足率確保)と質の向上を目的」とした改革です。具体的には、「①審査システムの見直し、②研究種目・枠組みの見直しがおこなわれ、③柔軟かつ適正な研究費使用の促進」が図られています。

この改革と背景と目的等につきまして、作業に深くかかわられた田中雅一会員と森明子会員に報告をしていただきます。変更(改革)の趣旨をご理解いただき、それに合致した適切で魅力的な申請書を作成するためにも、会員の皆さまにはふるってご参集くださるようお願いいたします。
  • 日時: 6月2日(日) 11時30分〜12時55分
  • 場所: B会場 (文化系総合講義棟2階・法学部第一講義室)

 基調報告
  • 田中雅一 国際ファッション専門職大学教授、日本学術振興会学術システム研究センター・前人文班主任研究員(2015-18)
  • 森明子   国立民族学博物館教授、同前専門研究員(2016-18)
 コメント 
  • 窪田幸子 神戸大学教授、同前専門研究員(2013-15)

大学の運営交付金が年々減額され、科研費のような競争的資金への依存がますます高まっています。文化人類学に限って言えば、多くの人類学者を育ててきた海外学術調査が廃止され、新たに国際共同研究強化(B)が発足し、長期的展望にたった調査の再編を余儀なくされています。若手研究者については、若手研究(A)の廃止をはじめとする再編や支援の強化が行われています。また、科研費審査改革2018によって申請書の書き方に大きな影響が出ています。さらに、現在10万にのぼる科研の申請数や合議審査の導入は、これまで以上に審査員の負担を強いています。

本フォーラムの目的は、こうした科研費をめぐる急激な研究環境の変化を念頭に、会員の皆さまが正確な知識をもって今秋の科研費申請に臨めるようにすることです。具体的には、申請書の書き方に影響を与える審査方式の変更、挑戦、特設審査領域、国際共同強力(A)(B)などの新領域創設の背景、若手研究者支援の現状など、研究種目や審査区分などについて説明します。そして、学会としてどのような取り組みが可能なのかを、現状把握を元に皆様と一緒に考えてみる機会にしたいと思います。

当日は田中会員と森会員による基調報告、窪田会員によるコメントののち、質疑応答に入る予定です。また現専門研究員の宮脇幸生会員(大阪府立大学教授)も登壇予定です。ふるってご参集くださるようお願いいたします。

なお改革の概要につきましては、「科研費改革の概要等について」を参照いただければ幸いです。
以上