一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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一般演題(口演)

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O-67~O-71 国際学校保健

座長:面澤 和子(弘前大学(名誉教授))

[O-69] ユネスコガイダンスから考える日本の性教育カリキュラム:国レベルと地域レベルの検討

山本 ベバリーアン1, Harel Sinai1, 小笠原 理恵2 (1.大阪大学大学院人間科学研究科, 2.大阪大学大学院医学系研究科)

キーワード:包括的性教育(CSE)、ユネスコガイダンス、日本の性教育カリキュラム

【背景】包括的性教育は、キーコンセプト(KC)1. 人間関係、KC2. 価値観・人権・文化・セクシュアリティ、KC3. ジェンダーの理解、KC4. 暴力・同意・安全、KC5. 健康とウェルビーイング、KC6. 人間の身体と発達、KC7. セクシュアリティと性的な行動、KC8. 性と生殖に関する健康、の8つから構成される(ユネスコ2018)。日本では1992年から性に関する教育が学習指導要領に盛り込まれ性教育の重要性が高まっているが、ユネスコの枠組みに則った形では行われていない。【目的】ユネスコの8つのKCを用いて、日本における国及び地域レベルの性教育を比較検討した。【方法】国レベルの文書(中央教育審議会の政策文書、文部科学省の学習指導要領)と地域レベルの文書(東京、茨城、高知版『性教育の手引』)を、8つのKCに当てはめて分析した。【結果】国が策定したカリキュラムでは、KC1とKC6が広く扱われている一方、KC2、3、4、5,8は部分的、KC7はほぼ触れられていなかった。KC7が欠落しているのは地域レベルでも同様であったが、地域ではより多くの包括性と創造性が確認でき、特にKC3はより充実している傾向がみられた。【結論】日本でも性教育への認識は高まっており、それは地域レベルのカリキュラムにおいてより顕著であった。KC7が欠落している点は国および地域レベルで同様だったが、地域での取り組みにはより多くの包括性と創造性が認められた。地域の取り組みが日本の性教育を国際基準に近づけるための足掛かりになり得ることが示唆された。