一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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一般演題(ポスター)

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P56~P61 メンタルヘルス2

座長:渡邉 正樹(東京学芸大学)

[P-60] 思春期における精神病様体験と自傷行為の縦断的関係

周 瑞1, 山口 智史1, 西田 明日香1, 小川 佐代子1, 東郷 史治1, 佐々木 司1 (1.東京大学 教育学研究科, 2.東京大学 教育学研究科)

キーワード:思春期、自傷行為、精神病様体験

【目的】精神病様体験(PLEs)は臨床的マーカーとなる可能性があると示唆されている。また自傷行為は、後の自殺の重要なリスク因子である。PLEsと自傷行為は思春期に多く見られる症状で、精神不調、低い教育達成度、失業など、その後の人生における様々な負の結果と関連している。PLEsと自傷行為の関連は横断研究で示唆されているが、その関連の方向性はまだ不明なままである。本研究は、思春期におけるPLEsと自傷行為の縦断的関係を調べた。
【方法】首都圏のある中高一貫校で2011年から2019年にかけて実施された思春期精神健康状態の縦断調査から得たデータを用いた。中高生合計1682名(12~18歳)を対象に縦断的解析を行った。PLEsはThe Diagnostic Interview Schedule for Children(DISC-C)のSchizophreniaセクションの5項目を用いて過去半年に経験したか否かを評価し,自傷行為は過去1年間の有無を質問して評価した。解析には交差遅延効果モデルを用いた。
【結果】PLEsと自傷行為は双方向の関連を示された。男女別の解析では、女子は全体の結果と同様の傾向であった。男子では心理的苦痛の調整なしのモデルでPLEsから自傷行為への影響のみ有意であった。
【結論】PLEsはその後の自傷行為と関連するだけではなく、自傷行為もPLEsの予測因子になる可能性がある。思春期におけるPLEsと自傷行為のスクリーニングは、精神不調や自殺に対する介策の開発に役に立つかもしれない。