プレナリーセッション
1.テーマ:
『世代間のつながりとサステイナビリティ:何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか』
2.コンセプトノート
1987年に持続可能な開発が提唱されてから30年以上が経ち、一世代ほどの時間がこの概念を軸とした開発パラダイムとして流れていきました。持続可能な開発の中心には、世代間のつながりとサステイナビリティがあり、先行世代、現行世代、将来世代の関係性をどのように考え、どう行動していくべきなのかを我々に問うています。
私たちは、先行世代から何を受け継いでいるのでしょうか。今大会の開催地である秋田の農山村では、古くから自然生態系と調和した里山的な暮らしが継承されてきました。人々の暮らしが自然の奥に見えるような地域社会のあり方は、現代社会における人と自然の関係性を捉え直す、ひとつのきっかけを与えてくれます。
引き継いでいくものがある一方で、私たちは先行世代が生み出した制度や慣習のうち、何を見直していくべきなのでしょうか。大量生産・大量消費型のグローバル市場経済、紛争と難民、国際保健と感染症、教育機会の不公正、ジェンダーや性の多様性に対して不寛容な価値観など、社会的弱者を生み出し、世代を越えて格差を固定化してしまう構造の刷新に、私たちは挑む必要があります。
グローバルコモンズ、気候正義、脱成長のような、既存の社会経済システムや個人のライフスタイルの変容を求める議論も広がるなか、私たちは次世代に何を手渡していこうとしているのでしょうか。どのような人と自然の関係性、包摂性を担保するための制度、個々人のウェルビーイングを実現するための価値観を、私たちは思い描いているのでしょうか。
第24回春季大会のプレナリーセッションは、持続可能な開発において重視される世代間のつながりについて、先行世代から将来世代までを含めた通時的な視点から、そもそもどのような物事をサステイナブルにしようとしているのかについて論じていきます。登壇者からは、それぞれの専門性と拠点としている地域の視点から論点を提示頂きます。こうした議論を通じて、国際協力と開発学におけるサステイナビリティに対する新しい理解を想像し、やがて創造するための方向性を見出していきたいと思います。
3.登壇者 *括弧内は専門と研究テーマ
- Divine Fuh, Director of the Institute for Humanities in Africa, ケープタウン大学(Social Anthropology, de-colonisation of knowledge)
- 丸山英樹・上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科・教授(比較教育学、ノンフォーマルエディケーション)
- 千葉加恵子・国際教養大学国際教養学部グローバルコネクティビティ領域・准教授(人類学、茶道・生花)
- 工藤尚悟・国際教養大学国際教養学部グローバルスタディズ領域・准教授(サステイナビリティ学, 地域づくり)*第24回春季大会実行委員長
- 近江加奈子・国際基督教大学アーツ・サイエンス研究科博士課程(専門: 開発学、youth agency in rural South Africa)
- 本セッションは英語にて開催されます。
- 日本語を含む他言語への通訳はありませんが、リアルタイムでの文字起こし(英語)を予定しています。