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[O-31-3] Proximal protectionは全症例に適応すべきか?(連続症例の成績から検討する)
キーワード:proximal protection, carotid artery stenting
【背景】頸動脈ステント留置術(CAS)は頸動脈内膜剥離術(CEA)に比して術後の脳梗塞が多い特徴があり,如何に低減するかは重要な課題である。【目的】バルーン付きガイドカテーテルを用いるproximal protectionの安全性と有効性について評価し,また,MRIによりプラークの脆弱性が予見できるか検討した。【方法】2010年7月から2013年12月までに施行した連続41症例(39患者)において,proximal protectionを用いた38症例(36患者)について,その安全性と有効性について評価した。また,術前BB-MRIを施行し得た24症例(23患者)については,デブリが確認された群(Group U)と,されなかった群(Group S)に分け,プラーク(P)と胸鎖乳突筋(S)の信号比(P/S)を両群で検討した。【結果】平均年齢は72歳,約80%が男性であった。症候性病変は24%含まれていた。Proximal protectionを用いた38症例のうち,protection中に虚血不耐性となった症例が1例あった。術後過灌流症候群を1例認めたが出血性合併症はなかった。4症例に術後DW-MRIで高信号域を認めたが,一過性脳虚血発作や脳梗塞は認めなかった。また,Group U,Group S のBB-MRI所見(P/S)は,T1WIでそれぞれ(1.43±0.06,0.46±0.13,p = 0.0017)であり,T2WIでは,(1.63±0.41,1.53±0.16,p =0.84)であった。【結語】Proximal protectionは比較的安全に施行でき,今回のシリーズでは虚血性合併症は無かった。また,デブリを認めるような不安定プラークは,安定プラークに比べて,T1WIのBB-MRI画像でP/Sが有意に高いという結果となった。以上より,どのような症例においてproximal protectionを用いるべきか,文献的考察とともに報告する。