第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

EVAR3

2014年10月31日(金) 13:10 〜 13:46 第8会場 (2Fロビー)

座長: 由利康一(自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科)

13:10 〜 13:46

[P-28-4] ステントグラフト内挿術を受ける患者の術前術後の心理的変化の検討

藤井沙紀, 松本美香, 角田紫 (鳥取大学医学部附属病院看護部)

キーワード:stent graft, psychological changes

【目的】大動脈瘤に対し,ステントグラフト内挿術を受けた患者の心理的変化のプロセスを明らかにし,そのプロセスに応じた看護介入を検討する。【方法】半構造化面接を行い,M-GTA(Modified Grounded Theory Approach)を用いて分析した。【倫理的配慮】A病院看護部倫理審査委員会の承認を得た。【結果・考察】対象者は,男性8名,女性2名,60~80代の患者であった。術前は「自覚症状がない」ことから,疾患に対する「危機感のなさ」が生まれ,また「疾患の情報不足」も生じる。術前の手術説明を通し,「手術に対する期待」感が生まれる反面,「手術に対する不安」の表出があった。しかし不安を抱えながらも,「意思決定の要因」として,家族,時期,役割,経験などが関連し,不安要因に対し,全患者が納得して手術に臨むのではなく,患者自身が妥協や諦めの形で受容していた。術後は,何かしらの形で「低侵襲手術の実感」をしていた。その実感から,「今後の期待」を考える余裕が生まれるが,同時に,術前には抱いていなかった新たな「退院後の不安」が生まれることがわかった。この結果から,術前は,手術を受容する手助けとなるような関わりが求められる。また,術前より,術後は疼痛があっても,除痛を行いながら活動することが重要であることを,医師,看護師で働きかける。それを踏まえ,術後の積極的離床を勧め,日常生活自立度を入院前まで回復することを目標にする。これにより,患者は,より今後の期待をもつことができると同時に,退院後も楽しみや役割復帰をスムーズに行うことができると考える。