JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG49] [JJ] 地球惑星科学における航空機観測利用の推進

2017年5月21日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[ACG49-P06] CPSゾンデを用いた雲粒子観測と航空機観測への適用可能性

*篠田 太郎1大東 忠保1藤原 正智3川村 誠治2鈴木 賢士4山口 弘誠5中北 英一5高橋 暢宏1坪木 和久1 (1.名古屋大学宇宙地球環境研究所、2.国立研究開発法人 情報通信研究機構 、3.北海道大学 大学院地球環境科学研究院 、4.山口大学大学院創成科学研究科 、5.京都大学防災研究所 )

キーワード:航空機観測、雲微物理、直接観測、CPSゾンデ、雲粒子ゾンデ

雲内の雲物理過程を理解するためには、レーダなどを用いたリモートセンシング技術に加えて、粒子の特徴(粒径・相・形状・数濃度)を直接観測により把握する必要がある。雲粒子ゾンデHYVISは気球の浮力により上昇していく際に、フィルム上に落下してきた雲・降水粒子を動画として撮影し、1680 MHz帯の電波を用いて動画データを受信機に転送する測器であり、氷晶粒子の形状の観測や偏波パラメータの検証に有効である。このHYVISを航空機観測に適用(HYDROS:Murakami et al. 1994)しようとする場合、機器の重量、形状に加えてデータ転送の周波数帯(1680 MHz帯での長距離のデータ転送)に課題がある。
近年、Fujiwara et al. (2016) により開発されたCPSゾンデは、近赤外光を射出するダイオードレーザと2つの受光器を内部にもち、粒径が2~80μmの雲粒子について、数濃度と一部の粒子の粒径と相(液相か固相か)を観測することのできる観測機器である。粒子の数濃度などのテキスト情報を転送するために、通常の業務で使用されるGPSゾンデと同じ400 MHz帯をデータ転送に使用している。また、機器の大きさも十数センチであり、HYVISに比べて重量(~200 g)やコストの点でも航空機観測への適用が有望である。そこで、本研究では、CPSゾンデを用いた初期観測結果を紹介するとともに、航空機観測への適用可能性について議論を行う。
2016年梅雨期に沖縄においてHYVIS+CPSの結合ゾンデを4基と、遮光筒の有無のCPS結合ゾンデ2基を放球した。CPSゾンデはGPSゾンデと結合して放球されるため、雲粒子の特徴とともに、取得時の高度・気温・湿度も同時に観測を行うことができる。これらのCPSゾンデは気球による上昇中のみならず、下降中でも雲粒子の数濃度や粒径・相を観測できており、航空機から投下する形での観測を行うことが可能であることを示した。また、観測される偏光度の値は融解層の上層と下層で明瞭に異なる値を示しており、粒子の相が明確に区別できることを示している。しかしながら、融解層よりも上層での液相(過冷却水滴)の特定を行うことはできない。CPSでは受光部に直達光もしくは地表面からの反射光が到達してしまうことで観測ノイズが生じる。日中の観測では、遮光筒を付けることで観測ノイズを低減できるが、遮光筒を付けることで液相粒子の取得数が劇的に少なくなることを確認した。航空機観測は日中に行われるために、厚い雲層内での遮光筒無しのCPSでの粒子取得量の評価が課題となる。