函館大会(第51回石油・石油化学討論会)

セッション情報

ポスター発表

[Poster odd no.] ポスター発表

2021年11月11日(木) 14:00 〜 15:30 ポスター sess.(奇数番号) (函館アリーナ 武道館B)

○髙岡 由貴1、阿部 一徳1 (1. 秋田大学 大学院国際資源学研究科)

低塩分濃度水攻法は、先行研究やフィールド試験などで増油効果が報告されている。対象油層の岩石、油、塩水の相互作用により、岩石表面が水濡れ性に移行することが示唆されているが、その一方で、特に炭酸塩岩における増油メカニズムは未解明な領域が多い。本研究では、塩水の性質に着目し、炭酸塩岩コアを用いた掃攻試験において、圧入水の濃度や組成、pHの変化が、増油効果及びコア内の圧力挙動に与える影響を評価した。

○野上 健幸1、三浦 大樹1,2,3、宍戸 哲也1,2,3 (1. 東京都立大学、2. 東京都立大学 水素エネルギー社会構築推進研究センター、3. 京都大学ESICB)

SiO2/Al2O3比の異なる担持硫化タングステン触媒を調製し、クメンクラッキング反応を行った。XRD、 XPS、 Pyridine吸着IR、
NH3-TPDを行い、触媒の構造と酸特性の関係を調べた。SiO2-Al2O3担体と比較して、WO3/SiO2-Al2O3およびWS2/SiO2-Al2O3触媒は、担体中のSiO2/Al2O3比によらず高い活性を示した。これは、WO3およびWS2の担持により新たブレンステッドな酸点が発現したことを示唆している。

○長尾 優1、北野 理基1、武守 佑典1、近藤 友明1、Kelting Rebecca2、Giusti Pierre3、Piparo Marco3 (1. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター、2. Shimadzu Europa GmbH、3. Total Refining and Chemicals, Total Research & Technology Gonfreville, International Joint Laboratory - iC2MC: Complex Matrices Molecular Characterization)

石油化学製品において硫黄濃度の管理は重要であり、軽油やガソリン中の硫黄総量は10ppm以下の微小量で管理されています。有効な分析法として、GCによる化学発光硫黄検出器(SCD)を用いた手法が挙げられます。SCDは硫黄化合物に等モル感度特性を持ち、石油化学製品に含まれる微小かつ多種の硫黄化合物を定性せずとも定量可能です。本発表ではSCDの等モル感度特性に着目し、軽油中での応答を調べた結果を報告します。

○森田 剛1、森本 正人2、山本 秀樹3、田中 隆三4,5、鈴木 昭雄5 (1. 千葉大学、2. 産業技術総合研究所、3. 関西大学、4. 出光興産、5. 石油エネルギー技術センター)

アスファルテンとその構成分子を模したモデル分子の凝集緩和挙動に関する、ラマン散乱測定による検討について報告する。発表者らは、 近年、小角散乱法によりメゾスケールでの構造評価の立場から本凝集状態の検討を行ってきた。この中で改善点を見出しており、析出等への関連性が高いより大凝集の解析、および、分子間相互作用に対するより直接的な情報の取得であり、本発表は後者に関連した取り組みに関するものである。

○佐藤 宏基1、今野 大輝1 (1. 東邦大学)

本研究ではMILs結晶合成における原料の多様化と回収後のPETボトル利用法の新規提案を目指し、PETボトルを出発原料とするMIL-53(Al) 結晶の合成を試みた。その結果、合成条件が結晶性や結晶形態に及ぼす影響を明らかにし、試薬由来と同等の比表面積を有するPET由来のMIL-53(Al)を得ることに成功した。さらにこの結晶について、水中フェノールに対する吸着除去性能を検証し、水質浄化剤としての可能性を確認した。

○小泉 大生1、今野 大輝1 (1. 東邦大学)

新たなガソリンベーパー吸着剤として、イミダゾレート骨格をもつMOFsの炭化水素吸着特性を確認した。例えばn-ヘキサンが吸着質の場合、SOD型のZIF-8 と RHO型のMAF-6 では両者の吸着量に大きな差は見られなかったが、一方でシクロヘキサンの場合には、細孔径の大きなMAF-6が高い吸着量を示す結果となった。さらに、脱着操作による繰り返し利用も可能であり吸着剤としての有用性が確認された。

○鷲見 知香1、三宅 浩史1、内田 幸明1、西山 憲和1 (1. 大阪大学)

近年、天然ガス由来の安価なエタンから付加価値の高い芳香族化合物を合成するプロセス(エタンの脱水素芳香族化)が注目されている。エタンの脱水素芳香族化に対して、Znイオン交換MFI型ゼオライトが高い芳香族収率を示すことが知られているが、触媒寿命が短いという問題がある。そこで、本研究では、MFI型ゼオライトのカウンターカチオン種、酸強度、外表面酸点などを精密に制御し、触媒寿命の向上を目指した。

○小林 歩夢1、三浦 潤1、神田 康晴1 (1. 室蘭工業大学)

Pt/Al2O3触媒のメチルシクロヘキサン(MCH)脱水素活性に与えるInの添加効果について検討した。Inの添加により、活性の安定性が向上し、生成物中のトルエンの選択率が向上した。また、1wt%のPtに対するIn添加量の最適値は、0.8wt%であることが分かった。キャラクタリゼーションの結果から、Inの添加によりPt粒子の凝集は確認されず、Ptは負に帯電することが明らかとなった。以上のことから、Inの添加により活性の安定性と生成物選択性を向上したのは、Ptが負に帯電していることが重要であると考えた。

○周 安博1、三宅 浩史1、内田 幸明1、西山 憲和1 (1. 大阪大学)

ヘテロ原子と遷移金属を含有した炭素触媒は、優れた電極触媒として知られている。 特に、高分散したCoNx種を含んだ触媒は、燃料電池中の律速反応である酸素還元反応に対する活性が高いため、現行のPt触媒の代替触媒として注目を浴びている。 しかし、このような触媒を調製する際に必要な加熱処理によって、活性中心である金属同士の凝集が起きてしまう問題がある。ここでは、Co錯体を含んだイオン液体を用いた、高分散CoNxドープ多孔性炭素系触媒の新規合成法を報告する。また,得られた触媒は,アルカリ性溶液中で優れた酸素還元活性を示した。

○松本 美涼1、石丸 裕也1、吉川 琢也1、佐藤 太裕1、中坂 佑太1、井上 昭夫2、増田 隆夫1 (1. 北海道大学、2. 近畿大学)

竹は鋼鉄と同程度の剛性を示すセルロース繊維が構造力学的に最適化された配列を持つため、他の草本類と比べ高強度な天然材料であり、構造材として利用できる可能性がある。本研究では水/1-ブタノール溶媒を用い、竹からのリグニン・ヘミセルロースの分離法を確立すると共に、リグニンとヘミセルロースを取り除いた後の竹由来セルロースへ樹脂含浸をすることで、樹脂充填率の高いセルロースコンポジットの創製を検討した。

○天本 和志1、吉川 聡一1,2,3、藤木 裕宇1、平山 純1,2、加藤 玄4、三浦 大樹2,3,4、宍戸 哲也2,3,4、山添 誠司1,2,3,5 (1. 東京都立大学大学院 理学研究科 化学専攻、2. 京都大学 触媒・電池の元素戦略研究拠点、3. 東京都立大学大 水素エネルギー社会構築推進研究センター、4. 東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 環境応用化学域、5. 国立研究開発法人科学技術振興機構 さきがけ)

アミン溶液の固液相変化を利用して、高効率で低濃度CO2を吸収・放出するシステムを構築した。アミン溶液に400ppmのCO2を流し、下流の赤外分光光度計によりCO2除去効率を評価した。その結果、従来型のモノエタノールアミン溶液を大幅に上回って90%以上のCO2除去率を維持した。また、本アミン溶液はCO2の吸収に伴い白色のカルバミン酸固体を生成した。CO2の放出については、60℃において吸収したCO2とほぼ等量のCO2を放出し、最大で2%の濃縮CO2が得られた。

○GO Lance O’Hari P.1、Abdellatif Mohamed Mehawed1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

植物油(長鎖脂肪酸エステル)と糖化合物から誘導される対称型の1,ω-非共役ジエンの架橋剤存在下での非環式ジエンメタセシス重合により、溶媒可溶なネットワーク(架橋)ポリマーの合成を検討した。末端にオレフィン二重結合を有する長鎖脂肪酸エステルとグリセロールで合成した(Tri-arm型の)架橋剤との重合とつづくタンデム水素化で得られるポリマーは単峰性の分子量分布を有する高分子量ポリマーで、ポスター発表ではその熱物性や機械的性質も含めて紹介する予定である。

○小嶋 美華1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

天然に豊富に存在する非可食植物資源を原料とした機能性ポリマーの開発は重要な課題として認識されている。本研究では、Ru触媒(HG2)を用い、植物油と糖化合物から誘導される対称型モノマーと各種非共役1,ω-ジエンとのADMET共重合をおこない、続くone-pot(tandem)水素化により高融点ポリマーを合成した。

○中島 野乃香1、小出 晃士、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

芳香族イミド及びアニオン性支持配位子(フェノキシやアニリドピリジン配位子)を有する配位不飽和の4配位ニオブ錯体の合成・同定に取り組んだ。特に合成容易な溶媒配位のイミド配位トリクロリド錯体、Nb(NAr)Cl3(dme)、からイミド配位トリスアミド錯体の合成、さらにフェノール等との反応により目的錯体を得る合成法の確立に取り組んだ。ポスター発表では、さらに合成した錯体を用いたエチレンとの触媒反応の結果も併せて紹介する。

○木村 なな子1、竹内 大介1、小倉 沙代子2、高澤 彩香2、撹上 将規2、山延 健2、上原 宏樹2 (1. 弘前大学大学院理工学研究科、2. 群馬大学大学院理工学府)

NHC銀錯体と有機アルミニウムを組み合わせると、エチレン重合が進行することが知られている。我々は、この重合系中における活性種は、銀錯体上のNHC配位子が有機アルミニウムに移動した、NHC有機アルミニウム錯体であることを見出した。有機アルミニウムのうち、MMAO・MAOとの組み合わせは、140℃前後の融点、cob-webのモルフォロジーを持つポリエチレンを得た。NHC銀二核錯体はMAOの組み合わせのみに重合に活性を示し、140℃付近の融点を持つが、他の重合系とは異なるモルフォロジーを示すことが今回の研究で明らかになった。

○西川 諒1,2、鮫島 皓1,2、松本 崇弘1,2,3,4、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター)

フェノールは、我々の生活には必要不可欠な多くの化学物質の基盤とな
る化合物である。現在、フェノールはクメン法によって工業的に製造されてい
るが、副生生物として化学量論量のアセトンが生成することや反応効率の低さ
が課題である。本研究では、有機ジルコニウム錯体を用いた光誘起プロトン共
役電子移動によるベンゼンの酸素酸化によるフェノール合成を報告する。

○中村 玄太1,2、松本 崇弘1,2,3,4、木村 健人1,2、中野 龍也1,2、阿部 司5,6、塩田 淑仁5,6、吉澤 一成5,6、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター、5. 九州大学先導物質化学研究所、6. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業CREST)

レガシー資源からの脱却による脱炭素社会の実現に向けたグリーン成長戦略が加速している昨今、シェールガス革命を契機に、メタンはブリッジ・エネルギーとしての役割が期待されている。しかし、メタンは自身が有する物理化学的性質により、変換反応が最も難しい飽和炭化水素の1つに位置づけられている。本研究では、光エネルギーをインプットすることで均一系ルテニウム錯体を触媒とするメタンの変換反応に成功した。

○篠原 慧也1、西田 吉秀1、羽田 政明1 (1. 名古屋工業大学)

セリア-ジルコニア複合酸化物に担持した銅触媒(Cu/CZ)の非貴金属系三元触媒として効果を検証した。水熱法、共沈法、含浸法により調製したところ、共沈法により調製した触媒が最も高いNO還元活性を示した。最適な銅担持量は5wt%であり、Ce/Zr比は1/1であった。IRにより測定した吸着CO種のピーク面積をベースに算出したTOFとH2-TPRの結果より、Cu-CZ界面が三元触媒反応に関与すると推察した。Cu/CZは比較的高いNO還元活性を示したが、更なる活性向上が必要である。
×

認証

×

要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン