函館大会(第51回石油・石油化学討論会)

セッション情報

ポスター発表

[Poster even no.] ポスター発表

2021年11月12日(金) 14:00 〜 15:30 ポスター sess. (偶数番号) (函館アリーナ 武道館B)

○猪俣 泰祐1、阿部 一徳1 (1. 秋田大学 大学院国際資源学研究科)

SiO2ナノ粒子を用いた石油増進回収法では、置換効率改善による油回収率の向上が報告されている。一方で、対象貯留層の含有鉱物とナノ粒子の相互作用は、ナノ粒子の岩石表面への吸着性や凝集性に影響を与えるが、岩石中のナノ粒子の透過性や油置換効率との相関に関しては不明瞭な点も多い。本研究では、掃攻試験や掃攻試験時の排出液中のSiO2ナノ粒子の濃度評価から、砂岩中の粘土鉱物が岩石中のSiO2ナノ粒子の透過性および油置換効率に与える影響を検討した。

○張 天馳1、張 治宇1、神田 康晴1 (1. 室蘭工業大学大学院)

リン化物-硫化物複合触媒の前処理と水素化脱硫活性について検討した。還元処理したRh-P触媒をNiMo触媒と混合した際の昇温硫化プロファイルでは、Rh-P触媒の硫化はほとんど確認できず、NiMo触媒の硫化のみが確認できた。このリン化物-硫化物複合触媒は、Rh2Pに起因する高い水素化能とNiMoSに起因する高いC-S結合の切断能を有するため、高い水素化脱硫活性を示すことを明らかにした。

○北野 理基1、長尾 優1、武守 佑典1、近藤 友明1、Piparo Marco2、Giusti Pierre2 (1. 株式会社島津製作所、2. Total Research & Technology Gonfreville)

硫黄化合物は微量でも有害性を持つため、石油化学製品においてこれらを確認することは非常に重要です。化学発光硫黄検出システムNexis SCD-2030は、硫黄原子の数に対して線形的に応答する優れた等モル感度特性を有します。更に、高マトリクスの干渉に対応できる装置であるため、クロマトグラムにて個々のピークの分離し、各々の定量を行うことなく、含有硫黄総量を簡便に定量することが可能です。本システムを用いた、軽油中の総硫黄量の分析結果・考察を示します。

○下澤 健一1 (1. ジョンソン・マッセイ・ジャパン合同会社 資源技術開発部門)

石油化学品製造におけるコストダウンを図る一つの手段として、安価な原料の使用がある。しかし、安価な原料には水銀を多く含むものがある。水銀は設備を腐食したり、後段の触媒反応を阻害したりするため、早い段階で除去が行なわれている。ジョンソン・マッセイでは、対象物の種類に合わせた水銀吸着剤を産業界に供給してきた。本稿では、実績を踏まえてそれらの特徴を紹介する。また、燃焼排ガスからの水銀除去技術についても紹介する。

○谷原 彩音1、菊地 絋平1、今野 大輝1 (1. 東邦大学)

本研究では、ZIF-8による休廃止鉱山由来汚染水の浄化に向けた基礎的検討を行った。従来の吸着剤と比較して、ZIF-8は高い鉛イオン除去性能を示した。そこでさらに浄化メカニズムを明らかにすべく、鉛イオンと銅イオンの浄化に対するメカニズム解明を図った。その結果、鉛イオンでは吸着現象、銅イオンではイオン交換現象の進行が示唆された。鉛イオンの吸着等温線はLangmuirモデルに適合したことから細孔内への吸着現象であると考えられる。

○藤本 侑吾1、周 安博1、三宅 浩史1、内田 幸明1、西山 憲和1 (1. 大阪大学)

SAPO-34ゼオライトはmethanol-to-olefins(MTO)反応において高い低級オレフィン選択率を示すことから有望視されているが、コーキングにより触媒寿命が短いという問題がある。外表面への不活性物質の被覆は有効なアプローチの1つであるが、その修飾の難しさから報告は少ない。我々は金属有機構造体(MOF)を不活性物質の前駆体とした新たな被覆法を開発した。この被覆法を用いると、ゼオライトの構造や細孔を保つことができ、触媒寿命が大きく改善した。

○國領 伸哉1、三宅 浩史1、内田 幸明1、水沢 厚志2、久保 直嗣2、西山 憲和1 (1. 大阪大学、2. AC Biode(株))

排プラスチックの量は世界で年々増加しており、環境への負荷が大きくなっている。これを受けて、ケミカルリサイクルによるプラスチック資源循環プロセスの実現が望まれている。しかし、高温での分解には膨大なエネルギーを要するため、未だ社会にはほとんど実装されていない。本研究では、通常より構造欠陥を多く含んだゼオライト触媒を開発し、低密度ポリエチレンを低温で分解することに成功した。

○小笠原 気八1、宮崎 雅義1、北野 政明1、細野 秀雄1 (1. 東京工業大学)

炭素フリーなエネルギーキャリアであるアンモニアから、効率よく水素を製造するための安価で高性能な触媒が必要とされている。我々は、これまでに含窒素化合物(CaNHやCeN)にNiを担持することでアンモニア分解活性が著しく向上することを報告してきた。一方で、これらの化合物は大気不安定であるため本研究では大気中および水中で安定なBaTiO3-xNyにNiを担持しアンモニア分解反応に対する促進効果の検討を行った。

○赤木 太政1、池永 直樹2 (1. 関西大学大学院、2. 関西大学)

現在、水素(H2)は天然ガスから製造されている。しかし、資源枯渇の観点から、バイオマス由来のメタノールから製造する水蒸気改質(MSR)が研究されている。本研究では、高いメタノール転化率およびH2収率が得られたNiCuAl-LDHにキレート剤によりCuを導入した触媒に関して、反応温度による影響および触媒安定性を調査した。その結果、280 oCでの反応ではメタノール転化率やCO2選択率は徐々に減少したが、10 h後でも23.9 %のH2収率が得られた。

○Cui Yu1、Guo Lisheng1、Yang Guohui1、椿 範立1 (1. 富山大学)

CO2の持続可能な変換と利用は、今日の社会·で注目されている技術の1つです。しかし、CO2分子の不活性と弱い連鎖成長能力は、CO2の効率的な利用を制限します。本研究では、従来のFeベースの触媒とは異なり、一連のバイメタル触媒(FeCo)を調製して、CO水素化のより高い炭化水素収率に対するコバルト種の存在の影響を調査した。バイメタル粒子にコバルトが存在すると、小型の炭化鉄の形成が促進されます。一方、Co/Fe@C-8触媒のCo(2.4 at. %)およびFe(7.4 at. %)元素の適切な表面組成は、C2+生成物の選択的生成を促進するのに役立ち、高収率を示します。この研究は、CO2水素化から高収率でより長い炭化水素の形成ための高効率バイメタル触媒の利用への体系的なガイダンスを提供することができます。

○郭 麗娟1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

フェノキシ配位ハーフチタノセン触媒を用いると、エチレンとアリルベンゼンとの共重合が効率よく進行し、さらに2-ヒドロキシアリルベンゼンとの3元共重合により、共重合体中に水酸基の導入も可能になった。発表では、この共重合における触媒活性や共重合性能への触媒の効果をまとめた結果を紹介する。

○岩瀬 龍祐1、伊澤 樹、中谷 直輝1、山添 誠司1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

最近当研究室では、溶液XAFS測定手法を用い、フェノキシ配位子を有する非架橋型のハーフチタノセン錯体触媒によるスチレン重合では中性の3価錯体が活性種として作用することを報告した。本発表では、関連のチタノセン触媒によるスチレン重合の機構解析に取り組んだ。特にXANESスペクトルでスチレン添加後に3価種の生成が見られた錯体触媒が、スチレン重合に高活性を示し、この種の触媒では3価の活性種が生成、触媒反応に関与することが示唆された。ポスターでは詳細を報告する。

○岡部 正暉1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

環状オレフィン系共重合体は、高透明性や耐熱性、低吸湿性などに優れる非晶性の高分子機能材料として注目を集めているが、使用できるモノマーが高歪みのノルボルネンに限定された。発表者は前回の熊本大会で、非架橋型のハーフチタノセン触媒によるエチレンと低歪みのシクロオクテンなどとの共重合を報告している。本発表ではプロピレンとシクロオクテンなどとの共重合を検討し、得られるポリマーの熱物性やミクロ構造解析を行った。その結果、得られたポリマーの環状オレフィン含量と熱物性の関係が、エチレン系共重合体とは顕著に異なる傾向がみられた。学会では結果の詳細を報告する。

○渡部 楓音1、小出 晃士1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

高酸化状態の前周期遷移金属アルキリデン錯体はオレフィンメタセシス反応に有用な触媒である。本発表では、imidazolin-2-iminato、imidazolidin-2-iminato配位子を有する新規イミド配位有機ニオブ錯体の合成について紹介する。この種のジアルキル錯体は対応するイミド配位トリアルキル錯体と配位子との反応により得られる。さらに、新規dialkyl錯体はXeランプを用いた光照射によりalkylidene錯体へ変換できることが示唆された。ポスターではその詳細を報告する。

○和田 透1,2、ピオヴァノ アレッサンドロ2,3、高棹 玄徳1、チャミンクワン パッチャニー1,2、グロッポ エレナ2,3、寺野 稔1,2、谷池 俊明1,2 (1. 北陸先端科学技術大学院大学、2. DPI、3. トリノ大学)

化学的活性化によって得られるZiegler-Natta触媒はオレフィンの重合反応において高い活性を示すことが知られている。本研究では、触媒調製中に触媒粒子がどのように形成されているのかを種々の分析法によって追跡し、活性ナノ構造の起源について調査した。

○木村 健人1,2、松本 崇弘1,2,3,4、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター)

メタンは、バイオマスから製造可能であることから、再生可能エネルギーと親和性の高いリソースとして知られており、ナフサに替わる化学原料としての役割が期待されている。しかし、メタンはその不活性さ故に、利用範囲は今もなお限定的であり、化学原料として広範囲に汎用的に利用するためには新しい変換方法の開発が必要である。本研究では、光応答性有機鉄錯体を用いることでメタンの酸化を達成した。

○三瀬 周平1,2、村上 雅人1,2、木村 健人1,2、西川 諒1,2、松本 崇弘1,2,3,4、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター)

メタンは、最も高い炭素-水素結合解離エネルギー(105 kcal/mol)を持つ飽和炭化水素であるため、その炭素-水素結合の官能基化は高難度反応として知られており、触媒化学分野では酸素を用いるメタンの水酸化は夢の反応と呼ばれている。本研究では、光エネルギーを駆動力とすることで、均一系イリジウム錯体による酸素を用いたメタンの酸化について報告する。
×

認証

×

要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン