日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[I-29-01_03] 畜産物利用(I-午前)

2019年3月29日(金) 09:00 〜 09:30 第I会場 (8号館8301講義室)

座長:佐藤 薫(日獣生科大応生)

09:20 〜 09:30

[I29-03] 官能評価によるUHT牛乳の加熱臭強度の比較

本田 希未1, 篠田 優香2, 朝隈 貞樹2, 上田 靖子2, 内田 健冶1, 元島 英雅1, 片野 直哉1 (1.よつ葉乳業(株)中研, 2.農研機構北農研)

【目的】日本国内で牛乳の殺菌方法の主流である超高温 (UHT) 殺菌は,120℃から150℃で1~3秒間加熱処理する殺菌方法と定められている.殺菌温度が高いほどUHT牛乳の加熱臭が強くなることが考えられるが,それを検証した報告は少ない.本研究では120℃および130℃で殺菌したUHT牛乳の加熱臭強度を官能評価により比較した.
【方法】試験に先立ち,五味識別試験により35名のパネリストを選抜し,牛乳の加熱臭を学習させた.試験では,同一の生乳を120℃または130℃2秒で間接加熱法により殺菌した2つのUHT牛乳,およびHTST牛乳 (72℃15秒殺菌) をサンプルとして用いた.これら3サンプルの加熱臭について,同一パネリストが順序を考慮した全対を比較するシェッフェの一対比較法 (浦の変法) で評価した.また,加熱の程度を評価するため,ホエイタンパク質変性率およびメイラード反応生成物の測定,GC/MSによる香気成分の分析を実施した.
【結果】官能評価の結果,加熱臭強度はHTST牛乳<120℃殺菌牛乳<130℃殺菌牛乳であり,各サンプル間で有意な差が見られた (p<0.05).また,各分析結果より,130℃殺菌では120℃殺菌よりも加熱程度が強く,加熱臭を形成すると考えられている香気成分も多いことが示された.従って,UHT殺菌温度の違いにより加熱臭強度の差が生じ,牛乳の官能特性に影響する可能性が示唆された.