日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-29-21_22] 栄養・飼養(II-午後)

2019年3月29日(金) 13:30 〜 13:50 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:小櫃 剛人(広島大院生物圏)

13:30 〜 13:40

[II29-21] 乳中脂肪酸組成を用いた分娩後乳牛の栄養状態の把握

西村 慶子1, 中川 利晴2, 丸山 恭弘2, 寺田 文典3 (1.宮崎畜試, 2.(株)エヌエスピー, 3.東北大院農)

【目的】乳中脂肪酸は,C14以下(de novo FA),C18以上(preformed FA)およびC16(mixed FA)に大別される.乳中de novo FAは,ルーメン内の酢酸・酪酸から合成され,ルーメン発酵つまり栄養状態を反映していると考えられる.そこで,分娩後乳牛の乳中脂肪酸組成と乾物摂取量,体重および栄養充足率との関連を検討した.【材料と方法】供試牛は2産次の泌乳牛6頭とした.分娩後16週までの乾物摂取量,養分充足率,体重,乳量および乳成分(脂肪酸組成は中赤外分析計による)を測定した.乳中脂肪酸中のde novo FA割合と各項目との関連を個体をブロックとして検討し,これらの項目を用いて乾物摂取量の推定式を作成した.【結果】分娩後の週次が進むとde novo FAおよびmixed FAは増加する(P<0.01)が,preformed FAは低下した(P<0.01).乾物摂取量,乾物摂取量/体重および養分充足率とde novo FAは,正の相関(P<0.01)を示した.乳脂肪率とde novo FAは負の相関(P<0.01)を示したが,乳蛋白質率との間には相関がなかった.分娩後週次,体重,乳量および de novo FAを用いた乾物摂取量の推定式は,高い寄与率を示した(R2=0.82).以上より,泌乳初期の乳中脂肪酸に占めるde novo FA割合は,泌乳牛の栄養状態の指標として有効であることが推察された.