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[II29-25] 周産期乳牛で自然発生した亜急性ルーメンアシドーシス(SARA)に伴う血中炎症反応指標
【目的】演者らは123回大会で岩手大学が開発した研究用無線伝送式pHセンサを用いて診断したSARA牛では第一胃液中リポ多糖(LPS)活性値が高値,血中アルブミン濃度が低値を示したことから,炎症反応の存在を示唆した.今回,同一供試牛の血中急性期蛋白,サイトカインおよびホルモンから炎症反応の詳細を検討した.【方法】分娩前3,2,1週と分娩後1,2,3,5,8,12週に採血し,LPS結合蛋白(LBP),ハプトグロビン,血清アミロイドA蛋白(SAA),インターフェロンγ,腫瘍壊死因子(TNF-α),インターロイキン(IL)-4とIL-6,インスリン様成長因子Ⅰ,インスリン(Ins),成長ホルモンを測定し,正常群5頭とSARA群7頭で比較した.【結果】供試期間全体での比較でSARA群はSAAが高い傾向,Insが有意な高値を示した.分娩後の週次毎の比較でSARA群は1週にInsが高い傾向,3週にLBPが高い傾向で,SAAが有意な高値,12週にTNF-αが有意な低値を示した.以上より,SARAによって増加した第一胃液中LPSは血中に移行(LBP)し,急性期蛋白(SAA)を増加させ,Ins抵抗性を高めたと考えられるが,SARA群における炎症性サイトカイン濃度の上昇は認められなかった.