日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-29-25_27] 栄養・飼養(II-午後)

2019年3月29日(金) 14:10 〜 14:40 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:樋口 浩二(農研機構畜産部門)

14:10 〜 14:20

[II29-25] 周産期乳牛で自然発生した亜急性ルーメンアシドーシス(SARA)に伴う血中炎症反応指標

生田 健太郎1, 櫛引 史郎2, 新居 彦治3, 石川 翔1, 竹村 恵4, 水口 人史5, 佐藤 繁5 (1.兵庫農総セ淡路農技セ, 2.農研機構畜産部門, 3.明治飼糧, 4.山形庄内家保, 5.岩手大農)

【目的】演者らは123回大会で岩手大学が開発した研究用無線伝送式pHセンサを用いて診断したSARA牛では第一胃液中リポ多糖(LPS)活性値が高値,血中アルブミン濃度が低値を示したことから,炎症反応の存在を示唆した.今回,同一供試牛の血中急性期蛋白,サイトカインおよびホルモンから炎症反応の詳細を検討した.【方法】分娩前3,2,1週と分娩後1,2,3,5,8,12週に採血し,LPS結合蛋白(LBP),ハプトグロビン,血清アミロイドA蛋白(SAA),インターフェロンγ,腫瘍壊死因子(TNF-α),インターロイキン(IL)-4とIL-6,インスリン様成長因子Ⅰ,インスリン(Ins),成長ホルモンを測定し,正常群5頭とSARA群7頭で比較した.【結果】供試期間全体での比較でSARA群はSAAが高い傾向,Insが有意な高値を示した.分娩後の週次毎の比較でSARA群は1週にInsが高い傾向,3週にLBPが高い傾向で,SAAが有意な高値,12週にTNF-αが有意な低値を示した.以上より,SARAによって増加した第一胃液中LPSは血中に移行(LBP)し,急性期蛋白(SAA)を増加させ,Ins抵抗性を高めたと考えられるが,SARA群における炎症性サイトカイン濃度の上昇は認められなかった.