日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-29-25_27] 栄養・飼養(II-午後)

2019年3月29日(金) 14:10 〜 14:40 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:樋口 浩二(農研機構畜産部門)

14:20 〜 14:30

[II29-26] 羊の蹄病に対するオゾン療法

川端 圭佑1, 花村 瞳1, 齋藤 薫1, 塩田 剛太郎2, 岡本 芳晴3, 廣岡 俊行1 (1.家畜改良セ十勝, 2.(株)メディプラス製薬, 3.鳥取大農)

【目的】羊の蹄病において詳細な診断やそれらに応じた治療は,費用や手間を考えると現実的ではない.また畜産現場では抗生物質の使用制限が強く求められている.そのため簡易で抗生物質に依存しない治療の開発が重要である.今回蹄病に罹患し跛行を呈した羊に対し,オゾンクリームを用いた治療を試みた.【方法】月齢,性別等の条件で選定せず,跛行を呈したサフォーク種の羊10頭を対象とした.跛行を呈した個体を捕獲し,蹄病患部を露出(剪蹄)しオスバン水で洗浄した.オゾンクリーム(株式会社メディプラス製薬)を塗布または注入後,ガーゼで被覆しバンテージで保護した.治療後,隔離はせず放牧地に解放,後日再捕獲し患部の様子を観察した.跛行がなくなり,皮膚の浮腫や蹄の柔らかさがなくなり次第治癒と判定し,治療終了とした.抗生物質等は一切使用しなかった.【結果】治療を試みた全頭で治療開始から1~11(平均4.9)日で跛行が消失し,皮膚または蹄も改善傾向を示した.今回の結果よりオゾンクリームの塗布によって患部の感染が抑制され,抗炎症作用,疼痛軽減作用により患部の痛みが軽減したことで跛行が改善されたと推察する.更に,創傷治癒作用,血流改善作用により患部組織の回復が促進され,蹄の成長も通常より早く感じられた.以上より,オゾンクリームは羊の蹄病治療においても有効であると考える.またこの方法は牛,馬等の蹄病治療にも活用できると考える.