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[II29-27] 乳牛へのベタイン給与が、血液性状および分娩後の初回発情に及ぼす影響
【目的】分娩後の乳牛は,負のエネルギーバランスにより体脂肪が動員されて脂肪肝になりやすいことが報告されている.肝機能の低下は,インスリン様成長因子(IGF-1)産生の低下により卵胞の発育を抑制して,初回発情が遅延することから,分娩間隔延長の要因となる.そこで,マウスにおいて脂肪肝改善効果が報告されているベタインを分娩前後の乳牛に給与して,その効果について検討した.【方法】初産から5産までのホルスタイン種雌牛8頭を供試し,分娩月(4月から9月)がほぼ同等になるように対照区および試験区に配置した.試験区には,分娩前後3週間にベタインを50g/日を給与した.調査項目は,4%脂肪補正乳量,血液成分および発情状況とした.【結果】4%脂肪補正乳量には差が認められなかった.血液成分では,グルコース,総蛋白,NEFA,GOTおよびGGTには差が認められなかった.総コレステロールは,分娩1週目および2週目に対照区に比べ試験区が高い傾向(p<0.1),6週目には有意に高くなった(p<0.05).分娩後の初回発情は,対照区および試験区でそれぞれ,99日および56日,初回授精は,105日および84日と有意差は認められないものの試験区が早くなった.以上より分娩前後の乳牛にベタインを給与することにより,肝機能向上による栄養代謝の改善が示唆され,その結果,初回発情および初回授精が早くなる可能性が示された.