日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-29-35_36] 栄養・飼養(II-午後)

2019年3月29日(金) 15:50 〜 16:10 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:撫 年浩(宮崎大地域)

15:50 〜 16:00

[II29-35] 黒毛和種肥育牛の枝肉成績を予測する血中バイオマーカーマイクロRNAの探索黒毛和種肥育牛の枝肉成績を予測する血中バイオマーカーマイクロRNAの探索

笠原 喜斗1, 笹部 冴子1, 池上 春香1, 大林 賢伍2, 向島 幸司2, 越智 浩介3, 宮本 圭1, 松橋 珠子4, 松本 和也1,3,4 (1.近畿大生物理工, 2.岐阜畜研, 3.近畿大院生物理工, 4.近畿大先端研)

【目的】肉用牛がと畜処理されるまで枝肉成績を予測できないことは成績が良い牛の安定的生産の障害となっている.そこで近年疾患の早期診断マーカーとして注目されている血中エクソソームに含まれるマイクロRNAに着目し,肥育期間中に枝肉成績を予測する生体バイオマーカーの開発を目指して研究を行った.【方法】肥育牛105頭中の成績上位群と下位群から3頭ずつ選抜した.と畜時に採取した血清中からマイクロRNAを抽出し,マイクロアレイ解析で上位群と下位群の各マイクロRNA含有量を網羅的に比較した.差が見られたマイクロRNAはバイオマーカー候補として,別の肥育牛のと畜時血清から回収したエクソソーム中のバイオマーカー候補マイクロRNAの含有量をリアルタイムPCR法を用いて定量し,枝肉成績との関連を解析した.【結果】マイクロアレイ解析の結果,上位群と下位群で含有量に差のあったマイクロRNAは315種類確認された.このうちヒトおよびウシのマイクロRNA計24種類をバイオマーカー候補として選出し,新たな肥育牛集団における上位群,下位群の含有量をリアルタイムPCR法で定量し比較解析を行った.その結果,特定のマイクロRNAと枝肉成績との間で関連が確認された.以上より,血中エクソソームには肥育牛の枝肉成績と関連したマイクロRNAが含まれ,肥育期間中に枝肉成績を予測する生体バイオマーカーとして有用である可能性が示された.