[II-29-35_36] 栄養・飼養（II-午後）

[II29-36] 畜産領域へのリキッドバイオプシーの展開３：枝肉成績を肥育中に予測するウシ血清バイオマーカータンパク質の探索

^○松橋 珠子¹, 池上 春香², 越智 浩介³, 本廣 多胤⁴, 東口 奈那美⁵, 大林 賢伍⁶, 向島 幸司⁶, 高取 等⁷, 邨上 正幸⁷, 渡邉 智⁸, 笠原 喜斗², 永井 宏平², 宮本 圭², 吉廣 卓哉⁵, 松本 和也^1,2,3 (1.近畿大先端研, 2.近畿大生物理工, 3.近畿大院生物理工, 4.和大院シス工, 5.和大シス工, 6.岐阜畜研, 7.鳥取畜試, 8.宮城畜試)

【目的】高品質な牛肉を安定的に生産することは和牛肥育経営における最大の課題であり，肥育期間中に利用可能な客観的肥育指標の開発が求められている．本研究では，網羅的質量分析SWATH-MS法（Triple TOF 5600+ System, AB Sciex）を用いて，牛の枝肉成績を肥育中に予測する血清バイオマーカータンパク質の探索を進めている．【方法】複数地域で肥育導入された黒毛和種去勢牛から生後13～23ヶ月齢に定期的に計6回の採血を行い，SWATH-MS法により血清タンパク質群の同定と定量解析を行った．同定されたタンパク質は統計解析により枝肉成績等との関連を調べ，LASSO回帰による絞り込みを考慮した重回帰分析を行った．【結果】統計解析の結果，同定された135種類の血清タンパク質の一部は複数地域集団において肥育月齢や遺伝的背景，枝肉成績との間に関連性が認められ，肥育中に枝肉成績を予測する血清バイオマーカータンパク質の同定と予測式作成にSWATH-MS法およびLASSO回帰分析が有効である可能性が示された．今後は国内複数地域集団の規模を拡大して解析をすすめ，生体からのリキッドバイオプシーによる黒毛和種の肥育診断を実現する血中バイオマーカータンパク質の開発を目指す．※本研究は，JRA・畜産振興事業で実施した．