日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-YS-05_06] 優秀発表賞演題(第Ⅱ会場)

2019年3月28日(木) 10:00 〜 10:30 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:菊地 和弘(農研機構生物機能部門)

10:15 〜 10:30

[IIYS-06] 豚の遺伝的能力評価における気象データの利用可能性

原 ひと美1, 小川 伸一郎2, 大西 知佳3, 石井 和雄4, 上本 吉伸2, 佐藤 正寛2 (1.東北大農, 2.東北大院農, 3.家畜改良セ宮崎, 4.農研機構畜産部門)

【目的】豚の雌性繁殖形質を対象に,大環境効果として季節,月,気象庁による気温データを含むモデルを用いて分析を行った.【方法】家畜改良センター宮崎牧場において2010年から2017年の間に分娩したデュロック種(ユメサクラエース)485頭に関する生存産子数の記録1,161件,11,631頭分の血統情報および豚舎内で2016年から2017年の間に計測された気温のデータを用いた.また,同牧場から最近傍に位置する宮崎県小林地点のアメダスにおいて観測された日最高気温の記録を気象庁ホームページより取得した.母数効果として分娩年,産次,交配雄品種に加え,分娩時の季節,月,または分娩日の最高気温を含むモデル,および最高気温と季節または月を含むモデルの計5種類を用いた.気温の効果は2次の共変量とした.【結果】豚舎内とアメダスで観測された日最高気温の相関は0.92~0.96であった.推定遺伝率の値は,いずれのモデルにおいても0.15~0.17の範囲にあり,異なるモデル間における推定育種価の相関は0.97以上であった.気温の効果は25.7℃付近で最大値をとる上に凸の2次曲線として推定され,分娩季節または分娩月の推定値の大小関係と対応していた.以上の結果は,気象庁による気象データの利用可能性を示唆すると考えられた.