日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-YS-07_08] 優秀発表賞演題(第Ⅱ会場)

2019年3月28日(木) 10:30 〜 11:00 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:万年 英之(神戸大院農)

10:30 〜 10:45

[IIYS-07] 酪農家のライフスタイルと1日1回搾乳の受容性に関する研究

栁原 奈央子1, 長田 雅宏2, 小澤 壯行2 (1.日獣生科大院応生, 2.日獣生科大応生)

【目的】わが国の酪農家戸数は離農による急速な減少傾向にある.その要因の1つとして1日2回以上の搾乳による長時間労働の負担が考えられる.本研究はニュージーランド(以下NZ)で労働力軽減,経営費削減の観点から定着が図られつつある1日1回搾乳(以下OAD)に関するわが国酪農経営主の関心とライフスタイルに検討を加え, 本邦酪農経営におけるOAD受容性と諸課題を整理する.

【方法】JA釧路丹頂・JA浜中町管内の酪農家全戸(304戸)を対象に労働内容・時間およびOADへの関心に対するアンケートを行った.さらに同アンケートで「OADを経営に導入したい」と回答した酪農家のうち,6戸を対象としてヒアリングを実施した.またNZ精液の輸入業務を展開している株式会社法人の顧客63戸を対象にOADへの関心に対するアンケートを実施した.
【結果】酪農経営主におけるOADの認知度および関心は低い値に留まったが,OADを経営に導入したいと回答する経営主の存在が明らかになった.同時にNZ輸入精液を利用する経営主にその傾向が強いことが示唆された.これらの酪農経営は規模が小さく,労働時間を短縮させたい意向を有する傾向にあった.しかし導入に関心が有る経営においても,NZと異なり減少した労働時間が必ずしも「ライフワークバランス」の改善に供されるのではなく,搾乳労働以外の農作業に充当されることが示唆された.