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[IX29-07] ミトコンドリアDNAを用いた中央アジアにおけるラクダの遺伝的多様性の解析
ラクダは古代よりアフロ・ユーラシア大陸の乾燥地における家畜として重要な役割を担った動物である.現存するラクダは家畜ヒトコブラクダ(Camelus dromedarius),家畜フタコブラクダ(Camelus bactrianus)および野生フタコブラクダ(Camelus ferus)の3種である.家畜ラクダは現代においても肉・乳・毛皮・運搬など幅広く利用されている.カザフスタンの一部の地域では家畜ヒトコブラクダおよび家畜フタコブラクダが共存している.その地域では乳量の増加を目的として,ヒトコブラクダとフタコブラクダの種間雑種を積極的に生産している.しかしこれら家畜ラクダの遺伝的多様性に関する調査・研究の報告はほとんどない.本研究では,カザフスタンのWest Kazakhstan洲およびMangystau洲におけるラクダの遺伝的多様性をミトコンドリアDNA D-loop領域を用いて解析した.そのミトコンドリアDNAのタイプは大きく2つのグループにわかれた.それら2つのグループの塩基多様度は異なっていたが,これまでの報告と比べるとその差は小さかった.さらにミトコンドリアDNAのタイプとコブの数が一致しない個体が認められた.