14:50 〜 15:00
[IX29-26] サラブレッド糞を用いた木材クラフトパルプのin vitro消化率
【目的】木材クラフトパルプ(KP)の主成分はセルロース(CL)であり,ウシでは乾草よりDM消化率が高いことが報告されている.本研究では,ウマにおけるKPの消化性を明らかにするため,サラブレッド糞を用いたin vitro消化試験を実施し,チモシー乾草(TH)およびビートパルプ(BP)と比較した.【方法】昼夜放牧飼養しているサラブレッド種繁殖雌馬から直腸糞を採取し,後腸内微生物抽出液を調製した.KP,TH,BPをそれぞれ抽出液中で24,48,72時間培養し,DMおよびNDFin vitro消化率を測定し,消化速度を算出した.【結果】KP,TH,BPのNDF含量はそれぞれ95.9,63.6,39.5%DM,CL含量は87.6,33.9,18.9%DMであった.72時間DM消化率は,THの38.1%よりBPで78.0%と高く(P<0.05),KPで17.9%と低かった(P<0.05).一方NDF消化率は,THの13.3%よりKPで16.7%と高い傾向であった(P<0.10).48時間までのNDF消化速度は,KPで0.11,THで0.14%/時と同程度であったが,48時間から72時間にかけてはTHの0.28%/時に対し,KPで0.47%/時と2倍近く高かった.以上より,木材クラフトパルプはチモシー乾草より繊維成分消化率が高く,特に培養48時間以降の繊維成分消化速度が速いことが明らかとなった.