日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[IX-29-31_33] 栄養・飼養(Ⅸ-午後)

2019年3月29日(金) 15:40 〜 16:10 第IX会場 (8号館8502講義室)

座長:真貝 拓三(農研機構畜産部門)

16:00 〜 16:10

[IX29-33] 集積培養におけるpHの違いがルーメン内乳酸利用性細菌群の増殖および構成に及ぼす影響

岡田 禎子, 花田 正明, 西田 武弘, 福間 直希 (帯畜大)

【目的】ルーメンアシドーシスはウシにおいて代表的な代謝性疾患の1つであり,これを予防する為には,ルーメン内の乳酸を代謝可能な乳酸利用性細菌の特性を知ることが重要である.本研究ではin vitroの集積培養により,pHの違いがルーメン内乳酸利用性細菌叢に与える影響を評価した.【方法】乳酸を単一の炭素源として,pHをそれぞれ6.4, 5.6, 5.0に調整した培地を作製した.ウシルーメンから採取したルーメン液をイノキュラムとし,嫌気条件下での集積培養を行った.培養中の菌の増殖,有機酸濃度及び菌叢構成をモニターした.【結果】培養液のOD値が最大になったのはpH6.4, 5.6, 5.0でそれぞれ30, 54, 96時間後であり,乳酸濃度の減少がみられたのはpH6.4, 5.6, 5.0でそれぞれ24, 48, 96時間後であった.このことから培養液中の菌の増殖と乳酸利用速度はpHの影響を受けることが示された.また菌叢構成解析の結果,代表的なルーメン内乳酸利用菌であるSelenomonas 属細菌はどのpHにおいても検出されたものの,pHの違いにより異なる細菌グループが乳酸代謝に関与していることが明らかになった.以上のことから,pHの異なるルーメン内において乳酸利用に関与しうる細菌群を特定した.