日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[I-YS-03_04] 優秀発表賞演題(第Ⅰ会場)

2019年3月28日(木) 09:30 〜 10:00 第I会場 (8号館8301講義室)

座長:若松 純一(北大院農)

09:30 〜 09:45

[IYS-03] Lactobaccilus gasseriが生産する二成分性バクテリオシン“ガセリシンS”の自己耐性機構解析

原田 悠暉, 春日 元気, 川井 泰, 増田 哲也 (日大院生資科)

【目的】ガセリシンS(GS)はL. gasseriが生産する二成分性バクテリオシンである.これまでに生産株は2つの膜貫通領域と菌体外リンカー部を有する自己耐性タンパク質GasIによりGSから自身を保護していることを明らかにしたが,その詳細な耐性機構については不明である.そこで本研究ではGasI導入株の構築とその改変を行い,耐性に関与する領域の解明を試みた.【方法】L. gasseri JCM 1131T のGasI菌体外リンカー部または膜貫通領域を欠損させた改変GasI導入株およびGasIにおいて菌体外リンカー部にのみ存在する正電荷アミノ酸(リジン:K)をアルギニン(R),アラニン(A)ならびにアスパラギン酸(D)に置換した改変GasI導入株を構築し,寒天拡散法により各改変GasI導入株のGS耐性を測定し,野生型(WT)と比較した.【結果】各領域を欠損させた全ての改変GasI導入株はGS耐性が完全に消失した.菌体外領域のKをRへ置換した改変GasIはWTと同等の耐性を示したが,DおよびAへの置換は少なくとも1/16倍,1/8倍の耐性減少を示した.以上の結果から,GasIの耐性発揮には全ての領域が重要である可能性と二つの膜貫通領域による菌体外リンカー部の両端からの固定が重要である可能性が考えられた.また,特に菌体外リンカー部の正電荷アミノ酸がGasIの耐性発揮に関与している可能性が示唆された.