日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[I-YS-05_06] 優秀発表賞演題(第Ⅰ会場)

2019年3月28日(木) 10:00 〜 10:30 第I会場 (8号館8301講義室)

座長:熊谷 元(京大院農)

10:15 〜 10:30

[IYS-06] リジン制限飼料給与による大腿筋遊離グリシン増加と呈味への寄与

半澤 拓夢1, 渡邊 源哉2, 小林 駿斗1, 藤村 忍1,3 (1.新潟大院自然研, 2.農研機構畜産部門, 3.新潟大農)

【目的】Watanabeらはリジン(Lys)制限飼料の10日間給与により,鶏浅胸筋においてグルタミン酸(Glu)などの複数の遊離アミノ酸量が有意に増加し,呈味が向上することを報告している.これまで鶏に対するリジン制限給与は浅胸筋について報告されているが,日本人の嗜好性が高い大腿筋への影響については報告されていない.そこで呈味成分量の変動を異なるLys制限レベル飼料を用いて解析すると共に,大腿筋の呈味を分析型官能評価により解析した.また成分分析の結果からグリシン(Gly)に注目し,Glyの添加が食肉呈味与える影響を検討した.【方法】28日齢のChunky系雌ブロイラーを用い,Lys量をNRC (1994) に対し100%(対照区),90%(Lys90区)及び80%(Lys80区)となるように試験飼料を調製した.飼育成績,筋肉遊離アミノ酸量を測定し,大腿筋の分析型官能評価を行った.また対照区の肉スープにGlyを添加し,分析型官能評価を行った.【結果】浅胸筋及び大腿二頭筋においてLys制限給与に伴い遊離Gly増加が示された.大腿筋分析型官能評価ではLys80区で甘味の増加傾向が見られた.Gly添加による分析型官能評価ではうま味等の呈味増加傾向が見られた.Lys制限飼料の給与による特徴的な呈味に対して遊離Glu等のみではなく,Gly量の増加が寄与する可能性が示された.