[P29-01] 乳牛用バイパスLys製剤のTMR中および第一胃内での安定性評価
【目的】近年アミノ酸組成を考慮した乳牛の栄養設計として，乳牛用バイパスLys製剤も広く普及しつつある．市販されているバイパスLys製剤のLys原料には極めて水溶性の高い塩酸塩が使用されている．本試験は水分含量の異なるTMR中でのバイパスLys製剤の安定性と乳牛の第一胃内での安定性を評価した．【方法】国内で販売されているバイパスLys製剤3製品（A，B，C）を用いた．水分含量の異なるTMR（DM 80, 60, 40%）を調製し，それぞれのTMR200gに各製剤を2g添加混和後，24時間静置し，経時的にTMR中へ溶出したLys割合を測定した．また，ルーメンカニューレ装着搾乳牛2頭を用いてナイロンバック法により3製品の第一胃内への経時的なLys溶出割合を測定した．【結果】DM80％のTMRでは静置3時間以降，製品Cで7％のLys溶出が認められたが，AおよびBではほぼ溶出がなかった．DM60および40％のTMRでのLys溶出率は同程度であり，3時間で製品Aが３％，Bが8％，Cが78％であった．第一胃内へのLys溶出率は，6時間で製品Aが2.9％，Bが27.0％，Cが99.7％であった．以上の結果より，第一胃内でのバイパスLys製剤の安定性と同様にTMRの水分含量も安定性に影響し，水分含量が40％以上ではバイパスLys製剤からのLys溶出が高まること，また製剤により大きな差があることが示された．