日本畜産学会第125回大会

講演情報

ポスター発表

[P-29-20_38] 一般演題(ポスター発表)<繁殖・生殖工学>

2019年3月29日(金) 09:00 〜 15:30 ポスター会場・展示 (大教室)

[P29-20] 腟温センサを用いた初産牛と経産牛の分娩前体温変化の検討

阪谷 美樹1, 法上 拓生2, 澤戸 利衣2, 三輪 雅史1, 竹之内 直樹2 (1.農研機構畜産部門, 2.農研機構九沖農研)

【背景】畜産業において分娩事故は産子の損失のみならず,分娩後の母体の生産性や繁殖性にも悪影響を与えるため,その低減は重要である.既に腟温センサを用いた分娩予知システムが市販されており,畜産現場で活用されている.しかしながら,産歴の違いによる分娩前体温変化に関しての考察は少ない.本研究では乳用種,肉用種の分娩前体温を測定し,産歴による体温変化の違いを検討した.【方法】九州沖縄農研で繫養している乳用種36頭(初産16,経産20),肉用種79頭(初産26,経産53)について分娩予定日7~10日前に市販の腟温センサを装着した.温度検出閾値を0.3℃に設定し,体温低下警報,一次破水警報,娩出時刻をそれぞれ記録したほか,1時間ごとの平均体温を算出し,分娩前48時間と7日前同時刻との比較を行った.【結果】産子体重は乳用,肉用種とも初産牛で有意に小さく(P<0.05),妊娠期間は肉用種のみ初産牛で経産牛より短かった(P<0.05).一方,分娩前体温の低下~一次破水,一次破水~娩出の時間に産次による差は認められなかったが,初産牛では経産牛よりも体温低下幅が大きかった(P<0.05).また産歴に関わらず,一次破水約6時間前から体温は上昇に転じ,陣痛に伴う体温上昇が生じたと示唆された.以上より,初産牛と経産牛では分娩経過時間に差はないものの体温低下の度合いに差がみられることが明らかとなった.