[P29-22] 生体内卵子吸引(OPU)技術の現地実証の取り組み
【目的】ホルスタイン種泌乳牛のOPUと体外受精により後継牛の生産が可能となっている.そこで本県では,後継牛確保を目的として,県内酪農家において研究成果を実用化するため現地実証を行った.【材料と方法】酪農家が飼養するホルスタイン種経産牛延べ44頭,未経産牛2頭からOPUを行った.供卵牛への前処理は以下の3種とした.1)10AU区:FSH10AUを10ml生理食塩水に溶解し,OPU2日前に皮下投与,2)FGT区:FSH30AUを2AUあたり1ml生理食塩水に溶解,漸減的に4日間投与し翌日OPU,3)SOV区:上記2)に加え,PGとGnRHで発情誘起しGnRH投与24時間後にOPU.回収した卵子は既報(坂口ら,1995)に基づきG1~6に分類し,体外培養後,発生した胚盤胞はホルスタイン種に移植した.【結果】総卵胞数1,426個,卵子数754個,胚盤胞数244個,胚盤胞発生率32.4%,新鮮胚受胎率は36.5%であった.総卵胞数,大卵胞数と卵子数に,大卵胞数,卵子数と胚盤胞数に有意な正の相関が認められた.供卵牛の血中グルコース値とG1卵子数に正の相関が認められた.また,前処理別の胚盤胞数は,10AU区と比較してFGT区およびSOV区が有意に多かった.これらの結果,農家の状況に合わせて前処理を選択することで,多くの供胚牛から所内と同等の胚盤胞発生率で雌胚が作出でき,後継牛生産が可能であった.