日本畜産学会第125回大会

講演情報

ポスター発表

[P-29-20_38] 一般演題(ポスター発表)<繁殖・生殖工学>

2019年3月29日(金) 09:00 〜 15:30 ポスター会場・展示 (大教室)

[P29-31] ガス発生剤を用いたウシ体外受精成績の検討

矢島 りさ, 及川 俊徳 (宮城畜試)

【目的】生体内卵子吸引技術の普及によりウシ体外受精が現場でも実施される機会が増えている.胚の安定的作出にはインキュベーターによる温度とガスの制御が必須だが,機器の初期投資と維持費がかかる.そこでガス発生剤を用いたガス制御によるウシ体外受精胚の作出について検討した.
【方法】体外成熟(IVM),体外受精(IVF),体外発生培養(IVC)それぞれガス発生剤としてアネロパックを用い体外受精成績を検討した.インキュベーターの気相条件としてIVMとIVFは5%CO2,IVCは5%CO2・5%O2のためそれぞれアネロパックCO2,アネロパック微好気を用いた.試験区はアネロパック(AP区),ガス制御なし(AIR区),インキュベーター(対照区)の3区とした.実験1はIVM,実験2はIVF,実験3はIVCで上記3区を検討し,各実験で卵割率,胚発生率,胚の細胞数を,実験1で体外成熟率,実験2で受精率を調べた.
【結果】実験1:胚発生成績に有意差はなく,栄養膜細胞の細胞数においてAIR区は対照区と比べ有意に少ない成績であり,体外成熟率に有意差はなかった.実験2:AIR区は対照区と比べ有意に低い卵割率であったが,受精率に有意差はなかった.実験3:AP区と対照区に有意差はなかったがAIR区では卵割も胚発生も認められなかった.以上よりウシ体外受精でガス発生剤の使用により胚の生産が可能であることが明らかとなった.