日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[V-29-08_10] 繁殖・生殖工学(V-午前)

2019年3月29日(金) 10:10 〜 10:40 第V会場 (8号館8401講義室)

座長:高坂 哲也(静岡大農)

10:10 〜 10:20

[V29-08] equatorinを指標としたブタ精子の先体反応に対する研究

山本 幸佑1, 三角 浩司2,1, 大西 彰2,1 (1.日大院生資科, 2.日大生資科)

本研究は,ブタ精子の先体反応の可視化による精子の受精能獲得の正確な評価を目的としている.先体反応を従来の精子頭部の膜変化のみで評価することは,膜損傷との区別の点で必ずしも正確ではない.equatorinは先体反応に伴い再配置されるタンパク質の一つとして,マウスでは先体反応の指標とされている.そこで本研究では,マウスでの知見を基にブタへの応用を図った.モデナ液により低温液状保存,あるいは常法により凍結保存したブタ精子の標本を作製し,間接蛍光抗体法により染色した.一次抗体にはequatorinを抗原とするMN9抗体を,二次抗体にはAlexa594で標識されたGoat Anti-Rabbit IgG H&Lを用いた.また,精子の細胞核をHoechst33258により二重染色した.先体反応の進行度は,精子頭部の染まり方により4つに区分した.その結果,モデナ液で低温保存した精子では,8日以上の保存期間中に先体反応が進行していた.また,低温保存した液状精液を37℃で1時間培養することにより先体反応は促進された.さらに凍結融解後の精子では,低温液状保存精液に比べて先体反応が進行していた.以上の結果から,先体反応の指標として,equatorinが人工授精や体外受精に用いるブタ精子の評価に利用できる可能性が示された.