日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VI-29-01_03] 遺伝・育種(VI-午前)

2019年3月29日(金) 09:00 〜 09:30 第VI会場 (8号館8402講義室)

座長:佐々木 修(農研機構畜産部門)

09:20 〜 09:30

[VI29-03] 乳牛の体型審査で得られた歩様の遺伝評価値の近似的信頼度

馬場 俊見1, 後藤 裕作1, 川上 純平1, 岡 太郎2, 阿部 隼人3, 中川 智史3, 山口 諭3, 河原 孝吉1 (1.日ホ北支局, 2.日ホ協会, 3.北酪検)

【目的】歩様は国際標準形質の一つであり,2004年4月より線形審査が実施されている.しかし,その審査はフリーストール農家に限定され,その他の体型形質に比べて記録数が少ない.本研究では歩様の遺伝評価の精度向上を目的に,シングルステップの遺伝評価(ssGBLUP)の有効性を近似的な信頼度により検討した.【方法】分析データには,日本ホルスタイン登録協会が集積している2004年4月から2018年8月までの初産時の体型審査記録(n=87,513)および血縁記録を利用した.さらに,5,299頭の雄牛のSNPデータを利用した.これらのデータを利用し,単形質BLUP,ssGBLUPならびに肢蹄との多形質ssGBLUPによる遺伝評価値の近似的な信頼度をそれぞれ推定した.ssGBLUPによる信頼度の推定には,Misztalら(2013, JDS)の方法を応用した.歩様の遺伝率は,いずれの分析においても0.04と仮定した.【結果】 SNPデータを有する雄牛の信頼度の平均値(標準偏差)は,単形質のBLUPおよびssGBLUPでそれぞれ0.25(0.14)および0.53(0.09),多形質のssGBLUPで0.62(0.07)であった.信頼度の上昇は,BLUPにおいて低い信頼度をもつ個体ほど特に顕著であった.SNPデータや多形質の遺伝評価を利用することで,歩様の遺伝評価値の信頼度向上の可能性が示唆された.