日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VI-29-13_14] 遺伝・育種(VI-午前)

2019年3月29日(金) 11:00 〜 11:20 第VI会場 (8号館8402講義室)

座長:馬場 俊見(日ホ北支局)

11:00 〜 11:10

[VI29-13] 黒毛和種直接検定牛におけるIBD情報を利用したシングルステップゲノミック評価

松田 洋和, 勝田 智博, 中山 健一郎, 西 和隆, 穴田 勝人, 向井 文雄 (全和登)

【目的】Missing heritabilityの程度が大きい場合にはゲノミック評価の正確度が十分でなくなる可能性があるが,このような状況ではSNPの同祖同一(IBD)情報を利用したアプローチが有効であると考えられる.本研究では,黒毛和種直接検定牛を対象にIBD情報を利用したシングルステップゲノミック評価法について検討を加えた.【方法】直接検定牛3343頭において,50K SNPデータを有する個体は2065頭であった.育種価評価には,BLUP,ssGBLUP,Meuwissenら(2015)のシングルステップ法(GLDLA),GLDLAに小規模SNPチップ(157箇所)データに基づくIBD情報を加えた方法(GLDLA+IBD)を取り上げた.集団構造を考慮に入れて2種類の訓練群を作成し,混合集団における282頭を検証群として,余剰飼料摂取量,増体量,体型測定値などの13形質を評価した.【結果】遺伝率について,全般にssGBLUPおよびGLDLAのモデルでは,BLUPおよびGLDLA+IBDのモデルより低く推定される傾向が認められた.ssGBLUPおよびGLDLAの正確度は,訓練群によっては余剰飼料摂取量などでBLUPの正確度を下回った.一方,GLDLA+IBDはいずれの訓練群でも体高を除く12形質で他の手法より正確度が高く,とくに余剰飼料摂取量に対して有効な手法であると考えられた.