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[VI29-14] 抵抗性・感受性牛を活用した牛白血病ウイルス清浄化対策の有効性
【背景・目的】牛白血病ウイルス(BLV)は全世界に蔓延し甚大な被害を与えている.我々は体内BLV遺伝子(PVL)量を制御するウシBoLA-DRB3アレルを同定した.本研究では,関東の5農場を対象に抵抗性(R)と感受性(S)アレルを有する牛を識別し,それらを活用したBLV清浄化対策を2年間にわたって実施した.
【材料・方法】5農場の約350頭の乳牛を初夏に全頭採血し,DNAを抽出後にアレルを同定し,PVLを定量した.Rアレル(DRB3*0902又は*14011)を有し,PVL量が104コピー/105細胞以下の牛を抵抗性(R)牛とし,感染牛と非感染牛の中間に配置し,陽転を防ぐ生物学的防壁として活用した.同時にSアレル(DRB3*1201又は*1501)を有し,PVL量が104コピー/105細胞以上の牛を感受性(S)牛とし,積極的に更新する対策を実施した.その効果の検証は初冬に実施した.
【結果・考察】2農場は陽転ゼロに成功した(1農場は2年連続で).S牛を積極的に更新し,4農場の陰性率が上昇し,5農場のPVL量が低下した.特に1農場で陰性率が83%まで激増し清浄化の見通しが立った.空胎期間の延長で計算した経済被害は著しく減少した.
R牛を生物学的壁として活用し,S牛を積極的に更新することは有効なBLV清浄化対策である.従ってR牛を積極的に残すことは有効なBLV清浄化育種戦略として考えられる.
【材料・方法】5農場の約350頭の乳牛を初夏に全頭採血し,DNAを抽出後にアレルを同定し,PVLを定量した.Rアレル(DRB3*0902又は*14011)を有し,PVL量が104コピー/105細胞以下の牛を抵抗性(R)牛とし,感染牛と非感染牛の中間に配置し,陽転を防ぐ生物学的防壁として活用した.同時にSアレル(DRB3*1201又は*1501)を有し,PVL量が104コピー/105細胞以上の牛を感受性(S)牛とし,積極的に更新する対策を実施した.その効果の検証は初冬に実施した.
【結果・考察】2農場は陽転ゼロに成功した(1農場は2年連続で).S牛を積極的に更新し,4農場の陰性率が上昇し,5農場のPVL量が低下した.特に1農場で陰性率が83%まで激増し清浄化の見通しが立った.空胎期間の延長で計算した経済被害は著しく減少した.
R牛を生物学的壁として活用し,S牛を積極的に更新することは有効なBLV清浄化対策である.従ってR牛を積極的に残すことは有効なBLV清浄化育種戦略として考えられる.