日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VI-29-17_19] 遺伝・育種(VI-午後)

2019年3月29日(金) 13:20 〜 13:50 第VI会場 (8号館8402講義室)

座長:古川 力(ヤマザキ動物看護大)

13:40 〜 13:50

[VI29-19] 構造方程式モデルを用いた遺伝的能力評価方法の里子処置下におけるメリット

岡村 俊宏1, 石井 和雄1, 西尾 元秀1, 佐藤 正寛2, 佐々木 修1 (1.農研機構畜産部門, 2.東北大院農)

【目的】里子処置によって介入を受けた場合の,ブタの繁殖形質に関する遺伝的能力評価における,構造方程式モデル(SEM)のメリットについて,コンピューターシミュレーションを用いて検討した.
【方法】ランドレース種集団より推定した生存産子数,21日齢生存頭数および21日齢腹体重(以下,それぞれNBA,LP21,LW21)の遺伝的パラメーターおよび因果構造係数を,データ発生の基本値とした.NBA測定後に,里子処置により各腹の哺育開始頭数をNBAの平均値にすることを想定し,里子処置の有無で2種類の表型値を各形質で1000頭分発生させた.LP21,LW21の表型値を用いて,因果構造を反映させない3形質アニマルモデル(MTAM)と,反映させた3形質SEMでそれぞれ遺伝的パラメーターおよび推定育種価を算出した.各モデルによる推定育種価と真の育種価との相関係数を,育種価推定の正確度とする.里子処置をする個体の割合は,0%から50%まで変化させ,それぞれの場合の正確度を推定した.シミュレーションは500回反復した.
【結果】MTAMでは,里子割合が上昇するにつれて正確度が減少し,里子割合50%ではLP21およびLW21の正確度は,それぞれ72%および2%減少した.一方でSEMでは,里子割合によって正確度は変化せず一定で,いずれの場合も従来の評価方法と同等またはより高い正確度であった.