日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VIII-29-12_13] 形態・生理(VIII-午後)

2019年3月29日(金) 10:50 〜 11:10 第VIII会場 (8号館8501講義室)

座長:村井篤嗣(名大院生命農)

10:50 〜 11:00

[VIII29-12] ブロイラー異常硬化胸肉におけるミトコンドリア異常

長谷川 靖洋1, 森 祐輔1, 渡邉 敬文2, 山田 未知1, 川崎 武志3, 岩崎 智仁1 (1.酪農大農食環境, 2.酪農大獣, 3.人と鳥の健康研)

【目的】第124回大会においてブロイラーの異常硬化胸肉(Wooden Breast,以下WB)の発現は過度な酸化ストレスが関係していることを報告した.本研究では酸化ストレスの主な原因物質である活性酸素を生成するミトコンドリアについて形態学的ならびに生化学的に検討した.
【方法】本学で飼育した50日齢のRoss308系ブロイラーを翼の挙上による選別を行い,挙上(−)をWB発現鶏,挙上(+)を非発現鶏として浅胸筋の採材を行った.採材した浅胸筋から凍結連続切片を作成して各組織化学染色を行った.ミトコンドリア呼吸鎖複合体の観察にはBlue Native PAGE(以下,BN-PAGE)で観察した.抗酸化酵素であるSOD1,SOD2ならびにCatalaseの遺伝子発現についてはRT-PCRにて評価した.
【結果】NADH-TR染色の結果,WB発現鶏は濃染色された筋線維が観察され,三重免疫組織化学染色ではNADH-TR染色で濃染した筋線維と一致して膨潤したミトコンドリアが観察された.BN-PAGEの結果,WB発現鶏は非発現鶏と比較して呼吸鎖複合体Iのみ多く検出された.WB発現鶏は非発現鶏と比較してSOD1,SOD2ならびにCatalaseの遺伝子発現量が低かった.以上のことから,WB発現鶏では活性酸素の除去システムが低下しており,ミトコンドリア異常が生じていることが示唆された.