日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VIII-29-12_13] 形態・生理(VIII-午後)

2019年3月29日(金) 10:50 〜 11:10 第VIII会場 (8号館8501講義室)

座長:村井篤嗣(名大院生命農)

11:00 〜 11:10

[VIII29-13] 産卵鶏卵胞膜の自然免疫関連分子の発現とヒストン修飾に及ぼすサルモネラ菌ワクチン接種の影響

康 曄, 新居 隆浩, 磯部 直樹, 吉村 幸則 (広島大院生物圏)

【目的】産卵鶏卵巣の感染防御には適応免疫とともに自然免疫機能が関わる.本実験はサルモネラ菌(SE)ワクチン接種が卵胞膜の自然免疫関連分子の発現能と,自然免疫記憶に関わる可能性があるヒストン修飾に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.【方法】白色レグホン産卵鶏(約350日齢)を用い,SE不活化ワクチン(ワクチン区)またはPBS(対照区)を接種した.7日後に第1位卵胞を採取し,全RNA及びヒストン蛋白を抽出した.全RNAを用いてリアルタイムPCR法により,Toll様受容体(TLR),炎症性サイトカインとIFN,抗菌ペプチド(AvBDs)の発現を解析した.ヒストン蛋白はウエスタンブロット法によるアセチル化及びメチル化ヒストンの相対量の解析に供した.【結果】10種類のTLRのうち,TLR1-1,2-1,4,15の発現が対照区に比べてワクチン接種区で有意に高かった.炎症性サイトカインとIFN発現はワクチン接種区と対照区とで差を示さなかった.AvBD1,2,4,7の発現は対照区よりワクチン接種区で有意に高かった.ヒストンH3アセチル化とメチル化を解析すると,H3K9me2量が対照区よりワクチン接種区で有意に高かった.これらのことから,SEワクチン接種は細菌パターンを認識するTLRとAvBDsの発現性を高めること,同時にヒストン修飾も増加させることが示唆された.