日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VIII-29-16_18] 形態・生理(VIII-午後)

2019年3月29日(金) 13:00 〜 13:30 第VIII会場 (8号館8501講義室)

座長:後藤 貴文(鹿大農)

13:00 〜 13:10

[VIII29-16] 放牧飼養した日本短角種における肝臓の脂質代謝

小笠原 英毅, 田中 南帆, 野原 香菜, 高橋 辰行, 黒瀬 陽平, 寳示戸 雅之 (北里大獣)

【目的】北里大学獣医学部附属FSC八雲牧場では,放牧と自給粗飼料のみで肉用牛を生産している.我々は前回大会で,放牧飼養で増加する脂肪滴含有筋線維にCD36が発現し,Diacylglycerol O-acyltransferase(DGAT2)が増加することを報告した.しかしながら,肝臓など生体内の脂質代謝は不明である.したがって,本研究では肝臓の脂質代謝関連因子の発現を解析し,放牧飼養した日本短角種における肝臓の脂質代謝を明らかにすることを目的とした.
【方法】日本短角種去勢雄(約17ヶ月齢)を用いて,5~10月に放牧する区(放牧区)および未放牧の区(舎飼区)を設置し(各4頭),放牧区は放牧草を自由採食,舎飼区は直刈り青草を飽食給与した.試験牛は毎月1回,体重測定と採血を行い,日増体量と血中成分を分析した.また,放牧開始前,中期,終期にバイオプシー法で肝組織を採取し,肝トリグリセリド(TG)含量の測定,q-PCR法による肝組織の脂質代謝関連遺伝子の発現解析を行った.
【結果】日増体量および血中TG濃度は試験期間を通して舎飼区で高く,肝TG含量は両区ともに増加傾向であった.一方,放牧区ではDGAT2の発現が時期依存的に増加した.以上より,放牧飼養では筋および肝臓におけるTG合成が促進され,放牧で増加する脂肪滴含有筋線維に肝臓から供給されるTGが蓄積する可能性が示唆された.