日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VIII-29-19_20] 形態・生理(VIII-午後)

2019年3月29日(金) 13:30 〜 13:50 第VIII会場 (8号館8501講義室)

座長:高橋 辰行(北里大獣)

13:40 〜 13:50

[VIII29-20] 39℃のマイルドヒートがマウス骨格筋細胞の分化を促進するメカニズムの解明

林 聡子1, 米倉 真一1,2 (1.信州大院総理工生医工, 2.信州大バイオメディカル研)

【背景】マイルドヒートは骨格筋再生もしくは分化に有益であることが,in vivo, in vitroの両方で多数報告されている.マウス筋芽細胞株(C2C12)では,37℃で培養した細胞と比べてマイルドヒート条件下(39℃)で培養した細胞の分化が促進したという報告があるが,マイルドヒートが骨格筋分化を促進するメカニズムは未だ不明である.本研究ではC2C12を用いて,39℃のマイルドヒートの分化過程における作用点を探索することを目的とした.【方法】分化誘導後5日間37℃もしくは39℃で培養した群,分化誘導後の5日間のうちそれぞれ1日だけを39℃で培養した群,分化誘導後の5日間のうち前半もしくは後半3日間のみ39℃で培養した群の計9群を設定した.全て分化5日目の時点でMHC染色を行い,筋管形成度合いを評価した.また細胞接着因子,筋タンパク質の遺伝子発現量をqPCR法で解析した.【結果】マイルドヒートは融合に先立つ細胞接着の指標となるM-cadherinの遺伝子発現を上昇させ,細胞同士の融合を促進するということを明らかにした.加えてマイルドヒートは筋タンパクの合成量は変動させないが,筋管内の核をより遠くへ移行させることを通して筋管の伸長を促進するということも明らかにした.以上より,39℃のマイルドヒートは細胞融合と筋管伸長という2つのステージを通して骨格筋分化に作用を及ぼしていることを証明した.