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[VIII29-23] ペパーミントが乳腺上皮細胞の乳産生能を低下させる機序に関する研究
【目的】ペパーミントは乳分泌を抑制するハーブとして知られている.ペパーミント中には様々な生理活性物質が含まれるが,乳分泌抑制に関わる有効成分やその作用機構は分かっていない.泌乳期乳腺における乳分泌は乳腺上皮細胞が行っている.また,経口摂取したペパーミント成分は乳汁にも移行することが分かっている.そこで本研究ではペパーミント精油とその含有成分が乳腺上皮細胞の乳産生能に及ぼす影響を調べた.【方法】未経産ICRマウスの乳腺から単離した乳腺上皮細胞を増殖培地で培養後,プロラクチンなどを含む分化培地により乳産生能を誘導した.続いて,ペパーミント精油やその含有成分を培地に添加し,β-カゼインの細胞内量と分泌量,乳産生を上方調節する転写因子であるSTAT5に及ぼす影響を調べた.【結果】ペパーミント精油処理により,乳腺上皮細胞のβ-カゼイン分泌量は時間の経過にともなって濃度依存的に減少していた.STAT5総量と活性型STAT5量も有意に減少していた.同様の結果はペパーミント精油の主成分であるメントールで処理した場合でも確認された.以上の結果より,ペパーミント中のメントールはSTAT5経路を介して乳腺上皮細胞の乳分泌能を低下させることが示唆された.現在,ペパーミント精油に含まれるその他の生理活性物質についても検証を進めている.