日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VIII-29-29_31] 形態・生理(VIII-午後)

2019年3月29日(金) 15:10 〜 15:40 第VIII会場 (8号館8501講義室)

座長:奈良 英利(石巻専修大)

15:20 〜 15:30

[VIII29-30] ヤギ片側分房の一時的な搾乳停止が乳中抗菌因子濃度に及ぼす影響

石本 佳久1, 新居 隆浩1,2, 吉村 幸則1,2, 磯部 直樹1,2 (1.広島大院生物圏, 2.広島大畜産研セ)

【目的】乳房炎の治療法の一つとして,罹患分房の搾乳を3日間休止するショート乾乳が知られている.我々は,泌乳ヤギの両分房の搾乳を3日間休止すると,搾乳再開後に乳量が減少して抗菌因子濃度が上昇し,これが炎症を抑制する可能性を示唆した.本研究では,片側分房のみ3日間搾乳を休止した時の両分房における乳中抗菌因子濃度の変化を調べた.
【方法】3日間搾乳した後,3日間左分房のみ搾乳を停止し,その後7日間再び搾乳を行った.搾乳停止中は分析のために1日1回乳汁を4 mlのみ採取し,停止中以外は1日1回全量を搾乳して乳量を測定した.乳汁は体細胞数 (SCC), Naイオン濃度 (上皮細胞更新の指標) および抗菌因子 (IgA, カテリシジン (Cath) -2およびラクトフェリン (LF)) 濃度測定に供した.
【結果・考察】左分房の乳量は,搾乳再開後に一時的に減少し,その後停止前の値まで回復したが,右分房の乳量には有意な変化は見られなかった.左分房のSCC, Naイオン, IgA, Cath-2, LF濃度は,いずれも搾乳再開後に一時的に上昇し,その後停止前の値に戻ったが,右分房においては有意な変化は見られなかった.以上のことから,一分房の搾乳を3日間休止すると,その分房の乳汁中抗菌因子濃度は上昇するが,他の分房の乳量および乳中抗菌因子濃度に影響を及ぼさないと推察された.