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[VIII29-31] 低頻度搾乳が乳汁中抗菌因子濃度に及ぼす影響
【目的】 乳房炎は乾乳初期に多発することが知られているので,乾乳期前に自然免疫機能を増強することが重要である.乳房の自然免疫機能としていくつかの抗菌因子が働いていることが知られている.そこで本研究では搾乳頻度を減少させた時に乳汁中抗菌因子の濃度が増加するのかを検討した.【方法】泌乳期のトカラヤギ16頭を供試し,通常の搾乳(1回/日)を3日間行った後,低頻度搾乳(1回/2日)を3回(3回区)あるいは5回(5回区)連続して実施した.両区とも低頻度搾乳終了後,通常の搾乳を7日間行った.乳汁は乳量および体細胞数を測定した後,遠心分離して脱脂し,抗菌因子としてLactoferrin,S100A7,IgAの測定に用いた.【結果】乳量は低頻度搾乳期間中に3回区および5回区ともに有意に減少し,低頻度搾乳終了後,増加傾向が見られ,3回区は5回区と比較して有意に多くなった.体細胞数とLactoferrin濃度は低頻度搾乳期間中に,S100A7濃度は低頻度搾乳終了後に,いずれの区においても上昇した.S100A7濃度は,いずれの区においても低頻度搾乳終了後,数日後に急激に上昇した.IgA濃度は5回区において低頻度搾乳終了直後に開始前に比べて有意に高くなった.以上のことから搾乳頻度を減少させることによって乳汁中抗菌因子濃度が増加することが示され,この手法による乾乳期乳房炎の予防が期待できると考えられた.