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[VIII29-32] 生体内組織形成術を用いて作製したウシ由来バイオシートの性状に及ぼす生体内環境の影響
【目的】私達はこれまでに,生体内組織形成術を用いてウシ皮下に鋳型基材を埋植することで鋳型通りの結合組織体を作製できること,この組織体は膠原細線維束が密に集合した構造をしており,シート状結合組織体(バイオシート)はイヌ血管壁への移植で有用であることを報告した.しかし,基材を埋植するウシの生体内環境が結合組織体の性状に及ぼす影響については不明である.本研究では,ウシの月齢,埋植部位・期間がバイオシートの性状に及ぼす影響を調べた.【方法】シリコーン製芯棒とスリット付外筒から成る円筒基材をホルスタイン種乾乳牛(61及び98ヶ月齢)の膁部及び腹部に埋植し1-3ヶ月後に回収した.また,子牛(2ヶ月齢)の膁部に同型基材を2ヶ月間埋植した.基材を回収して得られたバイオシートの組織構造と物理的強度を調べた.【結果】成牛膁部に埋植して作製したバイオシートは埋植期間に伴って膠原線維の高次構造が緻密になり,引張強度が有意に増加した(P<0.05).成牛に2ヶ月間埋植して作製したバイオシートは膁部の方が腹部よりも線維構造が密で引張強度は高かった.子牛膁部に2ヶ月間埋植したバイオシートは成牛同部位・同期間埋植したものに比べて線維構造が疎で引張強度が有意に低かった(P<0.01).ウシ生体内環境はバイオシートの性状に影響することから,埋植条件を制御することで多様な性状の組織体を作製することが可能と考えられた.