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[VYS-03] 暑熱環境下のニワトリにおける液性免疫機能低下機序の解明
【目的】 我々は,暑熱下の肉用鶏では,免疫担当器官である胸腺,ファブリキウス嚢,脾臓の著しい重量低下,ならびに,抗原接種後の特異的なIgY,IgM ならびにIgA応答の低下を明らかにしてきた.本研究では,この暑熱下の肉用鶏における免疫疲弊化がもたらされる分子メカニズムを解明するため,各リンパ組織での免疫担当細胞の動態を,免疫学的および組織学的に解析した.【方法】1)22日齢の肉用鶏を対照区(24℃)と暑熱区(34℃)に分配し,14日間飼育後,胸腺,ファブリキウス嚢,脾臓を採取した.各リンパ組織での免疫細胞の動態をFACS解析で,組織構造をHE染色による形態観察により評価した. 2)先の試験区に加え,暑熱感作3,10日後にBSAを筋肉内に接種する対照BSA区と暑熱BSA区を設定した.採血は各摂取の4日後におこない,血漿中のBSAに特異的な抗体価をELISA 法で定量した.【結果】追加免疫後の血漿中のBSAに特異的なIgY,IgMおよび IgAの抗体価は,暑熱区で有意な低下が認められた.胸腺では全てのT細胞サブセットの数が,ファブリキウス嚢ではCD3+細胞(T細胞)ならびにBu1+細胞(B細胞)の数が,脾臓では全てのT細胞サブセットならびにB細胞の数が暑熱区で減少していた.以上のことから,暑熱下の肉用鶏における免疫疲弊化は,リンパ組織での免疫担当細胞の数の低下によるものであることが示された.