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[XIII29-02] アブの牛白血病ウイルス保有率と昆虫忌避剤入りネットの実地効力試験に関する検討
【目的】地方病性牛白血病(EBL)は牛白血病ウイルス(BLV)の感染による伝染病で,アブがベクターと示唆されているため,吸血昆虫の防除はEBL予防に有効であり,畜産現場では防虫ネットが普及している.しかしBLV伝播リスクについて吸血昆虫に関する検討は少ないため,実際の牧場に生息するアブのBLV保有率を調べるとともに昆虫忌避剤入りネットの実地効力試験を行った.【材料と方法】2018年7月1日~8月10日の間,岩手大学農学部附属御明神牧場に飛翔するアブ計288匹を捕虫網で捕獲し,直ちに口吻を切除し測定まで凍結保存した.粉砕した口吻からDNAを抽出し,リアルタイムPCRでBLVのTax領域を検出した.また2018年夏季に昆虫忌避剤ペルメトリンを練りこんだ防虫ネット(網目6mm四方,ESD-18001,住化ES)を御明神牧場のビニールハウス牛舎1棟の出入り口,窓等開放面全てに敷設し実験区(14頭)とし,もう1棟は何も敷設せず対照区(7頭)として,それぞれの牛舎の陽転率(BLVプロウイルス検出)を調べた.【結果と考察】アブのBLV保有率は全体69.0%,大型75.4%,小型53.0%であり,大型アブの保有率の方が高い傾向にあった.またネット試験では両区とも1頭ずつ陽転したが,実験区で陽転した供試牛1頭はBLVプロウイルス量が微量(1.4copy/10ng)なため非特異反応の可能性があった.