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[XIII29-03] 腸菌性乳房炎の原因菌の違いが乳牛の行動時間に与える影響
【目的】大腸菌性乳房炎は甚急に症状が進行するため経済的損失が大きいことが知られている.また早期治療により治癒率が高まることが示唆されていることから,本研究では大腸菌性乳房炎の早期発見に資するため,原因菌の違いが牛の行動に与える影響を評価した.【方法】臨床性乳房炎を発症したホルスタイン種搾乳牛より採取した乳汁から,オンファームカルチャーにて原因菌が大腸菌およびクレブシエラと判別された牛を,それぞれEC群(187頭),KB群(11頭)とした.活動量の測定にはウシ行動モニタリングシステム(U-motion)を用い,採食時間,横臥反芻時間,起立反芻時間,横臥静止時間,起立静止時間を記録し,臨床性乳房炎発症7日前から2日後までのデータを用いた.【結果】EC群では,発症3~7日前の平均値と比較して,発症前乳房炎発症当日の行動時間は,採食-14%,動態-9%,起立反芻+13%,横臥反芻-13%,起立非活動+46%,横臥非活動+22%となった.またKB群では採食-71%,動態-39%,起立反芻+11%,横臥反芻-33%,起立非活動+111%,横臥非活動+82%であり,それぞれ有意な差が認められた(P<0.01).【結論】クレブシエラは大腸菌と比較して乳房炎発症時の行動に与える影響が大きく,急激に症状が進行することが明らかとなり,疾病予測モデルの開発に資することが期待された.